2013 Fiscal Year Research-status Report
MLL融合蛋白質がニッチ非依存的に自己複製を活性化する分子メカニズム
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25670450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横山 明彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10506710)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 発現制御 / 生体分子 / 内科 / 蛋白質 |
Research Abstract |
白血病を引き起こすMLL融合蛋白質はニッチ非依存的な自己複製を促進する事で病気を引き起こしている。我々は最近、MLL融合蛋白質複合体が転写と共役してクロマチンに結合する事で過去に転写された遺伝子の転写を再活性化するという事を報告した。このような「外的環境に影響を受けずにこれまでに発現していた遺伝子を再活性化するメカニズム」はMLL融合蛋白質がニッチ非依存的に自己複製を促進する基盤であると考えられる。MLL融合蛋白質複合体が特定の「過去に転写された遺伝子」を認識するために必要な共作用因子を同定するために、我々はまずMLL融合蛋白質複合体の構成因子であるLEDGFがクロマチン上で形成する複合体を解析する事に取り組んだ。具体的にはLEDGFを293T細胞に発現させ、その共作用因子を質量分析によって同定するという実験を行った。その結果、既知のLEDGF結合因子に加えて、十種類程度の新規結合因子が同定された。それらの多くは機能が分かっていないタンパク質であり、その生物学的な重要性はすぐには説明できないものであった。今後は、MLL融合蛋白質によるマウス白血病モデルと新規結合因子に対するshRNAなどを用いて、MLL融合蛋白質による白血病化のプロセスにおいて新たに同定された結合因子が重要であるかを検証していく。もし、MLL白血病細胞の増殖に重要であるという事が分かれば、それらの因子はMLL融合蛋白質によるニッチ非依存的な自己複製の促進に重要であるという事を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はLEDGFがクロマチン上で形成している複合体をアフィニティー精製し、質量分析にて解析することを目標に掲げた。3回同様の実験を行い、質量分析を行った結果、再現性を持って共精製される因子を多数同定した。そのうちの幾つかの因子については抗体が市販されていたため、IP-ウエスタンによって結果の正当性を確認することができた。従って初年度の目標は十分に達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、MLL融合蛋白質がニッチ非依存的な自己複製を促進する上で、重要な役割を果たしている可能性があるタンパク質が多数同定されたが、それらの候補タンパク質の中で真にMLL融合蛋白質依存的な転写活性化に必要な因子を見極める必要がある。それにはshRNAを用いた遺伝学的な解析が常法だが、現時点では候補タンパク質が多すぎて、全ての因子をこの方法で調べることはできない。今後はChIP-qPCRなどの手法でMLLの標的遺伝上で共局在している因子を選別し、それらを優先的に解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究はほぼ予定通り進捗し、その過程で予定した経費が使われたが、数パーセント残る結果となった。小額が未使用となったが特別に大きな研究計画の変更があったわけではなく、次年度においても特に研究計画の変更を伴わずに使用できる範囲内である。 生じた次年度使用額は小額であり、特に研究計画の変更を伴わなくとも有効に使用できる範囲に収まっている。従って、当初の研究計画度通り研究を進める
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