2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム・細胞工学的手法を用いた家族性血球貪食症候群の包括的診療基盤の確立
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25670475
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平家 俊男 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90190173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八角 高裕 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00511891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FHL / 血球貪食症候群 / NK細胞 / 細胞障害性T細胞 |
Research Abstract |
FHLの病態として、NK細胞や細胞障害性Tリンパ球 (CTL) の細胞障害活性発現に関与する分子の障害によりウイルス感染細胞等の標的細胞が排除できず、持続的NK細胞やCTLの持続活性化状態によるIFN-gammaを中心とするサイトカインの過剰産生が根底にあるとされる。しかし、遺伝子の異常が同定される症例は10%程度に留まる。一方、病態の重篤性から、患者さんから免疫細胞を入手できる機会は乏しく、本態としての病態解明、治療の適正化が十分には行われていない。さらに、①NK活性が低下していながら既知の分子異常を認めず、診断確定、治療方針の決定に難渋する重症HPS症例、②家族内集積を認めながらもNK活性の低下を伴わない症例など、従来の概念を逸脱するFHL疑い症例も多く存在し、疾患把握の抜本的変革が迫られている。加えて、さらなる治療成績向上のためには、疾患病態の補正を目的とした脱顆粒促進剤の開発等新しい視点に立つ治療基盤の開発が急務となっている。 まず、我々が確立した迅速スクリーニング法にて既知の病型、新規の病型を集積する。平成25年度において、血球貪食症候群58症例の解析を行い、FHL2 3症例、FHL3 5症例の迅速診断を行った。原因不明症例に関しては、網羅的な遺伝子発現解析やエクソーム解析を行い、新規原因分子の同定を行っている。今後、既知・新規を含め包括的に患者由来のiPS細胞を樹立して各種免疫細胞を作製し、非治療下での本態としての病態解明を行う。その結果を踏まえ、治療適正化を行うとともに、脱顆粒を回復する新規治療薬等の開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において、血球貪食症候群58症例の解析を行い、FHL2 3症例、FHL3 5症例の迅速診断を行った。患者集積は全国から行っており、本研究を進展させるための基盤整備は順調に進展している。①NK活性が低下していながら既知の分子異常を認めず、診断確定、治療方針の決定に難渋する重症HPS症例、②家族内集積を認めながらもNK活性の低下を伴わない症例など、従来の概念を逸脱するFHL疑い症例に対しても、経過に伴う病態所見が集積されつつあり、その病態解明が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、我々の開発した血小板を用いる迅速スクリーニング法による疾患分類を駆使して病型分類を行う。引き続いて、次世代シークエンサーを用いて未知病型の原因遺伝子同定、RNAseqによる既知・未知病型の病態把握、疾患iPS細胞から作製する免疫細胞を用いた非治療下での病態把握を行い、病態の本質に迫るとともに、疾患管理上重要となる重症度を反映するバイオマーカーの同定を行う。さらに、疾患iPS細胞から作製する免疫細胞、NOGマウスを用いたヒト病態モデルの作製、TALENを用いたゲノム編集による疾患細胞ラインの作製を通して、脱顆粒促進剤の開発等新しい視点に立つ治療基盤の開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検体を提供して頂ける患者さんとの日程調整ができず、予定していた解析が未実施となったため。 予定する患者さんからの検体提供を十分に調整し、予定する解析を円滑に進めることで使用する。
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