2015 Fiscal Year Annual Research Report
質量顕微鏡法によるヒト胎盤絨毛解析-病態特異的生体高分子マーカー同定を目指して-
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25670490
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70263085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一有 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50456571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎盤 / 質量顕微鏡法 / 光学顕微鏡法 / リン脂質 / 胎児発育不全 / 妊娠高血圧症候群 / 絨毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、質量分析(mass spectrometry: MS)技術のめざましい発展、発達により、蛋白質や脂質といった生体高分子は多彩な翻訳後(合成後)修飾を受け、生理活性が変化する事が注目されている。「質量顕微鏡」法は、生体組織切片においてこの質量分析(MS)を二次元で行い任意の生体高分子の分布を検出しうる画期的な新規解析技術である。本研究計画は「質量顕微鏡」を用いてヒト胎盤絨毛における生体高分子分布の解析方法の確立を世界で初めて試みることを研究目的とした。 先行研究により、正常胎盤において、sphingomyelin (d18:1/16:0)は幹絨毛特異的に、phosphatidylcholine (36:4)は終末絨毛特異的に分布していることが明らかとなった(Placenta 31;245, 2010)。今回の件救急では、胎児発育不全ならびに妊娠高血圧腎症の胎盤組織をもちいて、光学顕微鏡による代表的な胎盤病の変化であるChorioamnionitis (CAM)、リン パ 球 浸 潤 に よ る Villitis of unknown etiology (VUE)、血管病変として幹絨毛の Thrombusや脱落膜血管の Atherosis、 終末絨毛の構造変化として Ischemic changesあるいはImmature villi と、質量顕微鏡法による幹絨毛特異的なsphingomyelin (d18:1/16:0)分布および終末絨毛特異的なphosphatidylcholine (36:4)分布との関連を検討した。そして、脱落膜血管の Atherosisを認める場合特異的に、sphingomyelin (d18:1/16:0)およびphosphatidylcholine (36:4)の幹絨毛および終末絨毛特異的な発現パターが消失することを見いだした。すなわち、光学顕微鏡による胎盤病理所見の変化と絨毛を構成する生体高分子の分布パターの一部に相関が認められることを明らかにした。研究成果はPLoS One. 10(11):e0142609. 2015 に発表した。
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Research Products
(3 results)