2014 Fiscal Year Research-status Report
環境要因としての糖尿病がもたらす先天異常の分子機構の解析
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25670491
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
目野 主税 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20311764)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 左右軸形成 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの妊娠前糖尿病では、臓器の左右形態異常を伴う心臓先天性疾患が発症するリスクが高まることが知られている。昨年度は、マウス胚の高グルコース培地による全胚培養で左右軸形成異常が発生することを明らかにしていたが、これが実際の糖尿病マウスにおいても同様の左右軸の撹乱が発生するかは不明であった。そこで、今年度はStreptozotocinで発症させた糖尿病マウスにおける胚の左右軸形成を解析した。始めに糖尿病を誘発する条件を検討し、Streptozotocin濃度、投与時期、食餌、給水を最適化した。この条件のもと、embryonic day 8.7における胚ターニング及び心臓ルーピングを指標に左右非対称形態形成を評価すると、解剖時の血糖値が特に高い群で、心臓ルーピングや胚ターニングの方向性の逆転が確認された。これらの胚でwhole-mount in situ hybridizationによってPitx2発現を調べた所、幾つかのパターンで異常が観察された。1)左側側板中胚葉及び心臓原基における発現が消失した胚。2)左側側板中胚葉に発現するが心臓原基では発現が見出されない胚。3)心臓ループが逆方向であるが、左側側板中胚葉及び心臓原基でPitx2を発現した胚。左右軸形成におけるPitx2の役割及び心臓ループの逆転から判断し、これらの胚では内臓錯位(右側相同)や心臓先天性疾患が発症することになる。また、高グルコース培地による全胚培養における結果を加味すると、2及び3のパターンは側板中胚葉におけるNodal発現の遅延によって説明出来る可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、母体糖尿病及び高グルコース培地による全胚培養で生じる左右軸異常が同一のものであることが確認できた。従って、高グルコース培地で左右軸形成を追求することが妥当であることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病において撹乱される左右軸の状況が把握できたので、高グルコースの直接の作用点を明らかにする。
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Causes of Carryover |
現在、本研究の論文を投稿中であり、極力良いJournalでの掲載を目指しているが、査読時の要求も高いことが推定される。研究の更なる発展と査読による改訂要求に対応するため、予算配分を見直した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
査読による改訂要求に対応する実験、論文掲載費用、論文editing費用として使用する。
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Research Products
(5 results)