2013 Fiscal Year Research-status Report
患者抜去毛包角化細胞由来の3次元培養表皮を使用したTEN/SJSモデルの開発
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25670499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鎌田 憲明 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (00334186)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 重症薬疹 / 疾患モデル |
Research Abstract |
中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis、以下TEN)やスティーブンス・ジョンソン症候群(以下SJS)の発症メカニズムを解明するために疾患モデルの作製が必要であると考え、患者自身の表皮角化細胞から3次元培養表皮を作製し、患者自身の末梢血単核球と被疑薬とともに反応させた。まず1例(症例1:ゾニサミドによるSJS)で実験をおこなったが、残念ながら被疑薬の有無にかかわらず表皮の障害が見られなかった。 その理由として、治癒した患者の末梢血には薬剤に反応する白血球が極めて少ないことが考えられた。そこで患者の末梢血単核球とゾニサミドを反応させてトリチウムサイミジンの取り込み(増殖能)を測定したが、被疑薬を加えても増殖に差が見られなかったため、治癒した患者の末梢血中には薬剤に反応する白血球が極めて少ないことが明らかになった。 この問題を解決するためには患者の末梢血中にわずかに存在する薬剤反応性白血球を増殖させる必要があると考え、各種サイトカイン存在下に患者末梢血単核球とゾニサミドを加えて培養したところ、インターロイキン7存在下で培養した白血球がゾニサミドと反応して増殖することが確認できた(コントロールの健常人では反応はみられなかった)。従って、患者の末梢血中には薬剤に反応する白血球は存在するものの極めて少なく、薬剤への反応性をみるためには試験管内で増殖させる必要があることが明らかになった。 この実験系が他の患者でも同様に薬剤反応性白血球を増やすことができるか更に2症例(症例2:アロプリノールによるTEN、症例3:アセトアミノフェンによるTEN)で検討を行った。症例2ではアロプリノールには反応が見られなかったが、代謝産物であるオキシプリノールに反応が認められた。症例3ではアセトアミノフェンには反応が見られなかったため、代謝産物によるものかどうか今後の検討課題としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由として、 ・患者末梢血中には薬剤反応性リンパ球がわずかしか存在していないこと ・薬剤反応性リンパ球を増殖させる因子を確定するために時間がかかったこと ・薬剤によっては代謝産物に反応しているケースがあること これらの問題点を解決するのに時間を費やしたことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
・2症例については白血球が薬剤に反応する実験系を確立することができたため、患者白血球のうち、どのような細胞が原因薬剤に反応しているかを確認する。 ・症例3では被疑薬(被疑物質)が確定していないため、被疑薬の代謝産物に対する反応性を検討する。 ・症例4(TEN、被疑薬:サラゾピリン、アモキシシリン)の原因薬剤を確定し、先の2症例と同様にどのような細胞が原因薬剤に反応しているかを確認する。 ・最終的にはこれらの薬剤反応性白血球が表皮を障害するかどうか確認する。 以上を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初平成25年度内に疾患モデルを作製するため、4名の患者から毛包、末梢血単核球を提供して頂き解析する予定にしていたが、1名の患者が今年度海外出張となってしまったため、その方の解析に使用する予定金額が未使用金額となった。 平成26年度に帰国されるため、未使用金額はその方の解析費用に充てることにしたい。
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