2013 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管内皮細胞:新規培養技術に基づくVEGF-Cシグナル機構の解明
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25670501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞培養 / 細胞外マトリックス / シグナル伝達 / 再生医療 / 増殖因子 |
Research Abstract |
リンパ管新生に関わる最も重要な増殖因子vascular endothelial growth factor (VEGF)-Cの生理的至適濃度を明らかにし、リンパ管内皮細胞におけるシグナル伝達経路を同定することが、本研究の目的である。リンパ管新生は、癌リンパ行性転移の予後不良因子の一つであり、詳細なメカニズムを解明しなければならない。従来、単層培養では解決し得なかったリンパ管内皮細胞の細胞内シグナル解析を、新規積層化培養技術を応用することにより、VEGF-Cのシグナル伝達経路を明らかにする。積層化培養技術は、線維芽細胞を多層化してリンパ管内皮細胞の下床に用いるものであり、内皮細胞の接着性と膜蛋白の発現が亢進する有用なものである。本技術に立脚し、リンパ管内皮細胞のシグナル伝達機能の一端を明らかにすることにより、癌治療の科学的基盤を創出することが、本申請課題の目標である。そこで本研究課題では、3次元培養技術を基盤に、リンパ管内皮細胞の新規培養系に着手した。まず、トランスウェルチャンバーにヒト新生児皮膚由来線維芽細胞を4層培養した。その後、ヒト新生児皮膚由来リンパ管内皮細胞を積層し、リンパ管内皮細胞の3次元培養系を構築した。この培養系に組換えVEGF-A及びVEGF-Cを添加し、リンパ管内皮細胞に対する作用を検討した。この結果、リンパ管内皮細胞は組換えVEGF-A及びVEGF-Cに反応し、cord formationを来たすことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、研究計画にリンパ管内皮細胞を用いた3次元培養系の構築と細胞増殖に関するシグナル検討を挙げた。3次元培養技術は、リンパ管内皮細胞と線維芽細胞をファイブロネクチンとゼラチンでコーティングすることにより、順調に構築することが出来た。ただし、細胞数を至適化することが、機能的解析は必要であることも明らかになった。さらに、血清濃度を検討することにより、リンパ管内皮細胞の増殖が変化することも明らかになった。そこで血清濃度の至適化を図り、組換えVEGF-A及びVEGF-Cを添加した。各増殖因子の効果を見出すには、血清濃度を下げる必要あるからである。この結果、3次元培養下ではリンパ管内皮細胞が、組換えVEGF-A及びVEGF-Cに反応することを見出した。従って、平成25年度は、本研究課題の基盤を構築することが出来たことを報告し、達成度は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、3次元培養におけるリンパ管内皮細胞の増殖を検討する予定である。一方、血清濃度を至適化した結果、リンパ管内皮細胞は、組換えVEGF-A及びVEGF-Cに反応して、cord formationを来すことを見出した。従って、今後はcord formationの分子機構に着目して、シグナルを検討する予定である。研究計画では、細胞増殖に関する解析も計画しているので、cord formationの解析と共に、合わせて検討して行きたい。また、リンパ管内皮細胞の形態変化についても、微細構造の観察を進めて行く予定である。
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