2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25670517
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / クロマチンリモデリング / CHD8 / ノックアウトマウス / 行動解析 |
Research Abstract |
自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)の原因として遺伝的要因が強く示唆されている。近年の大規模シークエンス技術の躍進に伴い、ASD患者を対象とした大規模なゲノムスクリーニングが行われ、その結果CHD8が最も有力な原因遺伝子候補の一つとして報告され、世界中の注目を集めている。 CHD8はクロマチンリモデリング因子であり、クロマチン構造の変化を介して遺伝子発現の制御に関わると考えられている。われわれはこれまでにCHD8がヒストンH1をリクルートしてくることにより、p53やWnt-βカテニン経路に依存する転写活性化を抑制する活性があることを示した。CHD8を完全に欠損したマウスは胎生致死となる一方、神経特異的にCHD8を欠損させたマウスは生まれてくるものの小脳構造が破綻しており、生後3週以前に死亡する。この結果はCHD8が中枢神経系の発達に重要な役割を担っていることを示唆しており、CHD8がASDの原因遺伝子であることを推測させる。 報告されたASD患者のCHD8変異はヘテロ変異であったことから、われわれはCHD8ヘテロ欠損マウスの行動解析を行った。するとCHD8ヘテロ欠損マウスはヒトのASD患者と同様に不安様行動の増加や社会性行動の異常が観察された。この結果からCHD8ヘテロ欠損マウスはASD様の症状を示す新規モデルマウスとしてASD研究に利用できると考えている。 さらにASDの発症メカニズムを明らかにするため、CHD8のターゲット遺伝子の探索を行っている。脳におけるChIP-sequenceとmRNA-sequenceを行い、すでにいくつかの興味深いデータを得ている。これらのデータをもとにCHD8変異による遺伝子発現の変化を調べ、ASDの発症メカニズムを分子レベルから明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(6 results)