2013 Fiscal Year Research-status Report
PETプローブのチェレンコフ光を利用した光イメージングと光治療法への技術展開
Project/Area Number |
25670528
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小川 美香子 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 准教授 (20344351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線 / チェレンコフ光 / 分子イメージング |
Research Abstract |
PETは、脳機能を評価するのに適した分子イメージング法であるが、PET装置の普及率は低く、どの施設でも基礎研究に利用できる方法とは言えない。一方、光イメージングは汎用性が高く、薬剤開発など基礎研究の分野において広く利用されているが、血液脳関門を通過する低分子量の光プローブを作成することは困難であり、脳機能の評価は難しい。そこで、まず、PETプローブから放出されるチェレンコフ光を利用した、脳糖代謝・脳酸素代謝量イメージングを試みることとした。 平成25年度は、脳機能の光イメージングについて検討した。まず、ファントムを用いチェレンコフ光の感度、波長、透過性などについて検討を行ったのち、チェレンコフ光による脳イメージングが可能であるか検討を行うため、[18F]FDGによる脳糖代謝イメージングを行った。この際、脳への[18F]FDGの取り込み量は血糖値に依存するため、絶食時間を変えることにより、血糖値を様々に変化させたddYマウスを用い、さらに、定量性についての検討をガンマカウンタにて測定した放射能の結果と比較検討した。この結果、剃毛することで、定量性を保ってチェレンコフ光により脳糖代謝を測定することができることが判った。次に、[15O]O2, [15O]CO2ガスによる脳酸素代謝測定について検討を行った。光イメージング装置の麻酔ラインに[15O]O2, [15O]CO2ガスを導入し、放射性ガス吸入システムを構築した。次に、マウスにマスクを装着し、麻酔ガスとともに[15O]O2または[15O]CO2ガスを吸入させた。この結果、脳への取り込みを画像化することに成功した。しかしながら、ガスラインからの放射能が高く、この放射線がCCDカメラに直接影響を及ぼし雑音が高くなること、また、カメラ破損の頻度が高くなることが判った。従って本検討については、遮蔽などが今後の検討課題となることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定どおり、PETプローブが放出するチェレンコフ光を利用した脳のチェレンコフ光イメージングに成功した。 特に糖代謝イメージングについては、マウス頭部を無処置・剃毛処置・皮膚切開し、また、撮像後に脳を摘出し、様々な条件にてガンマカウンタでの放射能の測定値と比較検討を行うことで、定量性について一貫した結果を得ることができた。剃毛のみにより良好な定量性を示したことは、非侵襲的な測定が可能であることを示しており、PET装置に比較するとかなり一般に普及している光イメージング装置にて、PETイメージング剤を用いた脳機能の測定が可能であることを示すことができた。 一方、酸素代謝イメージングについては、同様に脳画像を捉えることができたものの、ガスラインからの放射能がカメラに直接影響を及ぼすという予期せぬ事項が発生した。遮蔽について試みるとともに、次年度以降は脳レセプターイメージング剤を用いた検討を併せ行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、引き続き、脳機能評価をチェレンコフ光イメージングにて行っていく。前年度までに、ガスイメージング剤の問題点が発覚したため、遮蔽などの対策を試みるとともに、当初予定に加えて、受容体イメージングに関する検討を行うこととする。この際、薬剤負荷などを施し、評価検討を行う。さらに、平成26年度はPITと[18F]FDGによる癌の超特異的治療についての検討を進める。すなわち、癌へ集積した[18F]FDGから放出されるチェレンコフ光により、光応答性分子プローブの光励起を行う。これにより、さらなる特異性の向上と深部癌の治療を目指す。 つづいて平成27年度は、前年度にひきつづき、PITと[18F]FDGによる癌の超特異的治療について検討を重ねる。まず、培養腫瘍細胞を利用し、IR700結合抗体を細胞に取り込ませた後、[18F]FDGを加え、本方法による腫瘍細胞殺傷効果について、FACSなどを利用した検討を進めていく。さらに、担癌マウスを用いて、インビボでの検討を行う。この際、PITのメカニズムを明らかにすることで、より効果的な治療法の開拓を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ガス性放射性物質によるイメージングにおいて、放射線が直接カメラに影響を及ぼすことが判明し、受容体イメージングへの切り替えの必要が出たため。 次年度に、脳受容体イメージングに関する検討を推進する予定であり、このための放射性標識原料の購入・サイクロトロンの利用などに必要となる。
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Research Products
(2 results)