2015 Fiscal Year Annual Research Report
PETプローブのチェレンコフ光を利用した光イメージングと光治療法への技術展開
Project/Area Number |
25670528
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20344351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チェレンコフ光 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度までに、PET薬剤を用いたチェレンコフ光による光分子イメージングに成功した。そこで、平成27年度は本技術を癌へ展開することとした。 まず、各種濃度の光感受性化合物IR700と[18F]FDG溶液を用意し、これらを混合することにより18Fからのチェレンコフ光ではなく、チェレンコフ光により励起されたIR700の波長の蛍光を捉えることができるか検討を行った。この結果、IR700の吸収帯が無い領域(545 nm)では[18F]FDGから放出されるチェレンコフ光はIR700の添加により減光することは無かった。一方、IR700の吸収帯はあるがIR700の蛍光波長(700 nm)からは外れる領域(612 nm)にて観察すると、IR700添加によるチェレンコフ光の減光が観察された。さらに、チェレンコフ光の波長からは外れるがIR700の蛍光がみられる領域(732 nm)にて観察すると、IR700を添加することで光が増強した。これはすなわち、[18F]FDGによるチェレンコフ光がIR700に吸収されIR700が励起し蛍光を発したことを示すものである。 そこで次に、チェレンコフ光を利用してがん細胞を殺傷できるか検討を行った。培養細胞にIR700標識抗体を結合させた後[18F]FDGを取り込ませ、LIVE/DEAD染色を行った。この結果、IR700と[18F]FDGを両方作用させることで、死細胞の数がやや増えていることを確認した。しかしながら、この細胞数の差は有意ではなく、また、長時間多くの放射能の[18F]FDGを作用させる必要があった。さらに、Annexin V, PI染色を施した細胞をフローサイトメトリーにより解析したが、非処理群と有意な差を認めることはできなかった。 別の検討により、IR700による細胞死は細胞膜傷害によるものである可能性が示されてきたことから、細胞質内に取り込まれる[18F]FDGではなく、膜へ結合するPET薬剤の必要性が考えられ、今後、さらに検討を進める予定である。
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Research Products
(3 results)