2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロインジェクションによるRIの細胞内局所注入および細胞内局在制御技術の開発
Project/Area Number |
25670543
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大島 康宏 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (00588676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロインジェクション / RI / 細胞内局在 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はマイクロインジェクションによるRIの細胞内注入及び細胞内局在制御技術確立のため、蛍光色素を用いた細胞質、核に対する注入方法の検討、蛍光標識抗体の合成及び細胞内局在制御に関する検討及びRI標識抗体の合成を実施した。蛍光色素の一つであるFluorescein isothiocyanate(FITC)をヒト食道がん細胞の核及び細胞質へ注入した結果、核及び細胞質における蛍光が認められ、マイクロインジェクションによる核及び細胞質への選択的注入が可能であることが示された。FITC注入の成功率は、65.2±20.3%(N=23)であり、さらに細胞侵襲性を検討したところ、約10%で細胞形態に異常が認められた。次に、蛍光標識抗体を合成し、細胞内局在制御について検討したところ、蛍光色素同様に核及び細胞質への選択的注入が可能であり、さらに蛍光標識抗体では、蛍光が拡散することなく、注入部位に局在した。また、64Cuを用いてRI標識抗体を合成したところ、標識率54.7%で合成することができた。以上の結果より、RI標識抗体を細胞内で局在化できる可能性が見出された。しかしながら、蛍光標識抗体の場合、マイクロインジェクション時にガラスキャピラリー先端が詰まり、蛍光標識抗体が放出されない事例が多数発生した。この問題の解決なしには研究を先に進められないため、平成27年度はガラスキャピラリー先端における詰まりを解消するための方法を探索した。視認不可能な微小固形物の影響を考慮し、0.22μmフィルタろ過後、15,000g、30分間の遠心分離を行った上清を使用したが、改善は認められなかったため、微小固形物による影響の可能性は低いと考えられる。抗体溶液の濃縮に伴う粘度上昇の影響を考慮し、今後ガラスキャピラリー内に親水性処理を施し、改善を試みる予定である。
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