2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670551
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 逸郎 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (80334225)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人工臓器学 / 経皮的エネルギー伝送 / 経皮的情報伝送 / 静電誘導 / 完全体内埋込型補助人工心臓 |
Research Abstract |
本研究は、皮膚貫通ケーブルが不要となる完全体内埋込型補助人工心臓の実現を目指して、名刺サイズの電極を用いた静電誘導によるエネルギーと情報の伝送を行う装置の開発を目的とする。 平成25年度は体外・体内用電極の作製、エネルギー送受信用回路の開発、エネルギー伝送のin vitro試験を行った。 電極は柔軟性に富みつつ高い耐久性が要求される。また高周波電流が流れるため配線の直径や厚みを小さくする必要がある。そこで電極として、金属メッシュを使用したものとフィルム基板を使用したものの2種を作製した。金属メッシュは柔軟性、強度ともによく、インピーダンスも低いが、ワイヤ部分への電流集中により利用できなかった。フィルム基板は十分な柔軟性と強度を持つが、金属厚が薄すぎ、電極そのもののインピーダンスが高く、実用性が低いことが判明した。今後は金属メッシュと金属箔との組み合わせによる電極を開発する予定である。 エネルギー送受信用の回路として、送信機側はエネルギー変換効率の向上を狙いMOSFETをHブリッジ型に構成し、スイッチング回路で高周波を発生することとした。現在までに、数MHzまでの帯域で任意の周波数で30-50Wの高周波出力が得られる回路が完成した。受信機側は電圧が高いこともあり通常のブリッジ整流回路とし、25W以上の整流が可能であることを確認した。 エネルギー伝送のin vitro試験では、電極の問題もあり、損失が大きくシステム効率としては50%を割り込んでおり、効果的なエネルギー伝送が実現できなかった。また、送受信に際して、伝送インピーダンスが高いため、電流は少ないものの高い電圧が必要となる。受信機側は単なるブリッジ整流回路であるため、そのまま高電圧が出力され、最大では100Vを超える出力となり、改善が必要なことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、皮膚貫通ケーブルが不要となる完全体内埋込型補助人工心臓の実現を目指して、名刺サイズの電極を用いた静電誘導によるエネルギーと情報の伝送を行う装置の開発を目的とする。 電極は2種類のものが完成したものの、効率的なエネルギー伝送を実現するためには、さらに改良が必要である。また、エネルギー送受信用の回路は送信側が30-50Wの出力が得られ、受信側が25Wの出力可能なものが完成している。しかしながら、エネルギー伝送のin vitro試験結果より、効率が低く、また出力電圧が高すぎるため、補助人工心臓用の電源として使用するためにはさらなる改良が必要であることが判明している。 一方、電極構造については金属メッシュと金属箔との組み合わせによる改善を計画している。また、エネルギー伝送の効率向上は電極構造の改良により向上が期待されるほか、出力電圧が高すぎる問題も、高効率DC-DCコンバーターを利用することで解決できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果として、エネルギー送受信用回路はほぼ完成している一方、電極が最大の問題となっている。そこで、金属メッシュと金属箔とを組み合わせた改良型の電極を作製し、評価を行う予定である。さらに、当初予定した、伝送信号用回路への情報伝送機能の付加、完成モデルのin vitro試験、完成モデルのin vivo試験を実施する予定である。
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