2015 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合蛋白・核移行シグナル結合性癌特異的原子抑制Gd中性子捕捉療法の開発
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25670571
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳衛 宏宣 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (30212278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70216753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガドニウム化合物 / 中性子捕捉療法 / Drug delivery System / ナノミセル / ポリエチレングリコール / リン酸カルシウム / ポリエチレンイミン / 膜融合ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は中性子捕捉療法を基盤とする新規の化学放射線療法を推進している。ガドリニウム化合物を用いた中性子捕捉療法においては、ガドリニウムが熱中性子を捕捉し、ガンマ線およびオージェ電子を放出することにより、癌細胞障害効果を得る。このため、癌細胞内、特に癌細胞の核にガドリニウムを集積させれば、より効果的な中性子捕捉反応が期待できる。 本年度は、昨年度に引き続きガドリニウム化合物を腫瘍組織に集積できるDrug Delivery System(DDS) を検討した。 (1) 血管性に乏しい膵臓癌などの腫瘍に対するDDSとして、ポリエチレングリコールにて被包されポリカチオン -リン酸カルシウムにガドテリドール結合ナノミセル(Ca-Pナノミセル)を合成し、ガドリニウムを封入させた。Colon26マウス皮下腫瘍モデルに対して、ガドテリドール結合Ca-Pナノミセルを尾静脈からの投与し、経時的に血中濃度を測定した。単回投与と複数回投与の比較を行い、複数回投与にて、腫瘍内ガドリニウム濃度の上昇を認めた。ガドテリドール結合Ca-Pナノミセル複数回投与後のマウスへの有害事象はなかった。 (2) Preliminaryな実験として、ガドテリドール錯体をカチオン性ポリマーであるポリエチレンイミンと膜融合ペプチドJTS-1と反応させ複合体を形成し、Colon26マウス皮下腫瘍モデルに対して腫瘍内投与を行い、腫瘍内滞留性を検討した。この結果、ガドリニウム錯体単独投与群と比較して腫瘍内集積性を見出した。 この結果より、Ca-Pナノミセルあるいはガドリニウム化合物自体に核移行シグナルや膜融合ペプチドを結合させ、細胞内へガドリニウムを送達させることができ、中性子捕捉療法へ向けた選択的なガドリニウムデリバリーシステムを構築できる可能性を見いだせた。
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Research Products
(3 results)