2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25670573
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
奥村 直樹 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80422715)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | c-Met / HGF / EMT / colorectal cancer / liver metastasis / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
当科では大腸癌肝転移発現過程おけるHGF受容体であるc-Metに注目し同シグナルとの関連を検討してきた。その結果,原発巣でc-Met発現が高い症例では有意に肝への転移が多いが、転移巣では減弱することが確認されている。そこで,この現象を説明する上で癌の転移に関連を示唆されるEMTの観点からの解析し,以下の結果を得た。 (1)TGF-β(5ng/ml),HGF(20ng/ml)はともに時間依存性にE-cadherinの発現を低下(それぞれ96時間でTGF-βは50.7%、HGFは41.3%),Vimentinを上昇(96時間でTGF-βは3.08倍,HGFは2.21倍)させたが,siRNAでc-Metをknock-downした細胞ではTGF-βで同様にE-cadherinの減弱を認めたのに対し,HGFでは認めなかった.(2)SnailはTGF-β添加24~48時間で発現するがHGFでは確認されなかった。SlugはTGF-β,HGFともに24~48時間で発現した。ERKはTGF-β・HGFともで活性化し,AKTはHGFのみで活性化した。TGF-βでは30分以降mad2,smad3のリン酸化が確認されたが,HGFでは認めなかった。TGF-βによるSnail発現ERKinhibitorであるU-0126で増強され、HGFによるSlug発現はU-0126で抑制された。 (3)TGF-βあるいはHGFにてEMTを誘導した状態では,5FU(10μM)単独での98.89%への細胞数減弱に対し,TGF-βで117.96%,HGFでは73.18%であり,HGF併用にて効果増強が確認された。薬剤耐性メカニズムの一種であるp-NFκBはTGF-β,HGFともに発現は認められなかった。HGF投与にてCyclinDおよびCyclinE、E2Fは24時間にてそれぞれ52.05%、63.06%、52.4%に,thymidine synthaseは96時間で56.0%に減弱した。これらの結果から,HGFは代表的な上皮間葉転換(EMT)誘導因子であるTGF-βと同様にEMTを誘導するが,そのシグナル過程には相違があり、HGFはERK/Akt経路を介してEMTを発現する。また,HGFによりcyclin D1/E2F関連経路を介してthymidine synthaseが減弱することにより5FUの効果を増強しうるものと推察された。
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