2013 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換を生じた血中循環癌細胞の蛍光イメージングによる選択的捕獲と遺伝子解析
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25670580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00304303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 俊輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (00362971)
白川 靖博 岡山大学, 大学病院, 講師 (60379774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 循環癌細胞 / 上皮間葉転換 / テロメラーゼ / アデノウイルス / TGF-beta / GFP / 遺伝子解析 / PCR |
Research Abstract |
癌患者の末梢血中を浮遊している癌細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)の検出は、EpCAMやcytokeratinなどの上皮系マーカーを指標とした方法により、その臨床的意義が検討されている。しかし、浸潤・転移などに関わる上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition:EMT)を生じた癌細胞は理論上検出不能であり、より進化した検出技術の開発が望まれる。本研究では、テロメラーゼ依存性GFP蛍光発現アデノウイルス(TelomeScan)をCTCで選択的に増殖させ、フローサイトメトリーでGFP陽性細胞を捕獲・回収し、既知あるいは未知の遺伝子解析を行う技術を確立することを目的とする。 平成25年度は、KRAS癌遺伝子に変異を持つヒト膵癌細胞株Panc-1がEpCAMを発現していないこと、またヒト肺癌細胞株A549がTGF-処理で人工的にEMTを生じること、具体的には上皮系マーカーであるE-カドヘリンの発現低下、間葉系マーカーであるN-カドヘリンの発現上昇、さらにアデノウイルス受容体(CAR)の発現レベルが変化しないことを確認した。健常人の末梢血にEpCAM陰性のPanc-1細胞あるいはEMTを誘導したA549細胞をspikeし、赤血球を溶血後にTelomeScanを24時間感染させたところ、蛍光顕微鏡下にGFP陽性細胞として検出可能であった。 本技術により、病巣にアクセス困難な症例でも末梢血から個別化医療のための遺伝子情報を得ることができ、EMTを生じた癌細胞を解析することで、悪性度や予後をより高精度に予測可能となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、遺伝子変異が明らかになっているヒト癌細胞株で上皮系マーカーの発現がある細胞株、ない細胞株、EMT誘導で発現が変化する細胞株を選定し、蛍光遺伝子発現TelomeScanの感染でGFP陽性細胞として検出可能であることを示した。今後のTelomeScanを用いたCTC捕獲システムの遺伝子変異検出感度を検討するためのCTCモデルを確立できたことで、計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フローサイトメトリーを用いたGFP陽性細胞の捕獲・回収のための条件設定を行い、ダイレクトシークエンス法およびPCR法によるKRASやBRAFなどの既知の遺伝子変異の検出感度や検出限界を明らかにする。さらに、担癌患者の末梢血からCTCを回収して既知あるいは未知の遺伝子プロファイリングを行い、原発巣および可能ならば転移巣の切除標本あるいは生検材料の遺伝子解析結果と比較する。 1)フローサイトメトリーによるCTC捕獲・回収の条件設定:TelomeScan感染後の細胞成分を抗CD45抗体で処理し、BD社のFACS Ariaを用いてソートする。TelomeScanの濃度は、細胞障害の程度や白血球の非特異的な感染を最小限に抑えられるように条件設定する。また、ゲートも可能な限りCD45陽性白血球を除き、かつGFP陽性細胞の純度を上げられるような範囲に設定する。 2)遺伝子抽出・増幅・解析:FACS Ariaで回収したサンプルからQIAGEN社のQIAamp DNA Mini Kitを使用してDNAを抽出し、ABI PRISM 310NT Genetic Analyzerを使用してダイレクトシークエンス法にて解析する。また、変異特異的PCR法にてKRASやBRAF、c-KITなどの既知の遺伝子変異を解析する。 3)担癌患者の臨床サンプルを用いた解析:進行大腸癌患者の末梢血からのCTCをフローサイトメトリーで回収し、KRAS、BRAF遺伝子変異の有無を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に用いる遺伝子変異を有する細胞株の選定に大きなスクリーニングが必要と想定していたが、比較的小規模の検討で至適細胞株を同定することが可能であったため。 フリーサイトメトリーによるGFP陽性細胞のソーティングに費用がかかるため、同定した細胞株を用いたCTC捕獲実験に繰り越した研究費を使用する。
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Research Products
(7 results)