2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌進展及び創傷治癒における脾臓由来マクロファージを用いた革新的治療法の開発
Project/Area Number |
25670583
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
調 憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 雄二 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30325526)
池田 哲夫 九州大学, 大学病院, 准教授 (60585701)
吉住 朋晴 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80363373)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝臓外科学 / 脾臓 / 創傷治癒 / 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒に関する研究ではマウス皮膚欠損モデルを作成し、FACScanにて創傷治癒に関連があるとされたマクロファージであるLy6Cの単球を採取、分離することが可能となった。皮膚欠損モデルに脾臓摘出を併施したが、創の縮小には脾摘群とコントロール群では明らかな差はなかった。単離したLy6C陽性細胞の腹腔内注入でも明らかな差は認められなかった。 一方、肝細胞癌に対する肝切除成績の検討で、CTにおける脾臓容積300ml以上を脾腫と定義した。脾容積300ml未満の症例に比べて、術後の生存率、無再発生存率ともに脾腫合併症例では有意に不良であった。多変量解析でも脾臓容積300ml以上は有意な予後不良因子であった。肝切除と脾臓摘出を同時に行った症例では脾臓容積300ml未満の症例と同等の生存率、肝細胞癌の無再発生存率であり、癌の再発を含めて長期予後は脾摘により改善していた(論文投稿中)。 以前、C型肝硬変症例で摘出された脾臓の組織では免疫抑制性のCD4陽性のregulatory T cellやPD-L1, L2陽性細胞が増加していることを報告した。さらに脾臓を摘出後は末梢血中のPD-1陽性の細胞が減少していることを見出した。 このような免疫抑制性の環境を作り出している脾臓を摘出することで肝癌に対する免疫応答が改善し、予後が改善した可能性を仮説として今後とも研究をすすめていく予定である。
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