2014 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫支配下のT細胞の存在意義の追求‐なぜ肝障害を制御できるのか?‐
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25670590
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
寺嶋 宏明 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究主幹 (40314215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 洋一朗 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (30597745)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 肝臓 / galectin-9 / T細胞 / TIM / TLR-4 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然免疫支配を受ける肝虚血再灌流障害におけるT細胞とマクロファージのcross-talkの調整機構を解明する研究である。 前年度には、マウス70%肝温虚血再灌流モデルを作成し、recombinant galectin-9投与が再灌流後6時間の血中AST/ALT値および肝組織像において、肝障害を改善することを見出した。 今年度は、galectin-9ノックアウト(KO)マウスにおいて同様のモデルを作成し、galectin-9投与による実験を行った。galectin-9KOマウスにおいては、野生型マウスより肝障害が増悪し、recombinant galectin-9投与をすることで増悪した障害が改善するという結果を得た。一方で、肝虚血再灌流刺激による肝におけるgal-9の経時的発現量を定量すると、再灌流後6時間までは経過と共に発現が減少し、6時間以降は発現が上昇するという結果が得られた。さらに、galectin-9投与により、アポトーシスの抑制、炎症性サイトカイン/ケモカインの発現減少、T細胞・マクロファージ・好中球などの炎症性細胞浸潤が抑制された。 今回の研究により、galectin-9の生体内での保護作用としての機能、またgalectin-9の外因性投与の有効性を確認しえた。 以上の成果を、海外雑誌Liver Transplantationに投稿するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に、肝虚血再灌流障害におけるgalectin-9の生体内での保護作用としての機能、またgalectin-9の外因性投与の有効性について、論文として投稿できたことは大きな成果である。 一方で、予定していたTIM-3(galectin-9はTIM-3のligand)などのin vitroにおける検討については、マウス脾細胞由来のT細胞などを用いてflowcytometry解析を行っているが、現在条件の再考を要する状態である。また、繁殖に時間を要していたTLR-4 KOマウスにおいてはコントロール群の検証中であり、TIM-3 KOマウスは繁殖用マウスの購入手続き中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TLR-4 KOマウスおよびTIM-3 KOマウスを用いて、T細胞とマクロファージのcross-talk、特にgalectin-9の作用メカニズムの観点から解析を行う予定としている。 TLR-4 KOマウスに関しては、2010年に報告した肝虚血再灌流障害におけるTIM-3とTLR-4のcross-talkの可能性に基づき、TIM-3 ligandであるgalectin-9の投与による実験を遂行する。前年度はTLR-4 KOマウスの繁殖が思わしくなかったが、現在順調に増加してきているため、速やかに進める予定である。 また、TIM-3 KOマウスを用いての実験は、前年度までの成果に対する重要な検証であり、現在繁殖用マウスの手続き中の状態(搬入待ち)であり、入荷次第、繁殖させて実験を進めていく予定である。 in vitro実験については、flowcytemetryを用いたTIM-3の解析を、TIM-3の誘導方法や抗体選択を再考しながら、引き続き進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
TIM-3ノックアウトマウス(繁殖用)の入手が非常に困難であったが、米国ジャクソン研究所からチャールズリバー社を通して有償分与が可能となり手続きを進めている。年始に調達可能予定であったが、希少動物であり、分与先での在庫状況、海外輸送を含めてマウスが届くのが2015年4月以降にずれこむ見通しとなった。そのためTIM-3ノックアウトの代金および実験費の相当分が未使用となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在搬入待ちの状態であるTIM-3ノックアウトの代金(繁殖用2pairで約50万の見積もり)、飼育費、TIM-3ノックアウトを用いた実験に必要な費用(recommbinant Galectin-9製剤・抗体など、約27万)に使用する予定である。尚、平成26年度までであった補助事業期間の延長申請を承認いただいた状況である。
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