2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規治療用遺伝子CSDAによる血管内膜肥厚抑制療法の開発
Project/Area Number |
25670592
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
齊藤 幸裕 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80540583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 内膜肥厚 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】自家血管グラフトに発生する内膜肥厚は,グラフト狭窄から再手術を余儀なくさせ開存率を低下させる重大な問題であるが,これに対する根本的な抑制治療法は未だ未確立である.我々はこれまでに治療ターゲットとして報告されてきたE2F,NFkB,MAPKなどを同時に抑制できる新たな治療用分子cold shock domain protein A(CSDA)を同定した.【目的】CSDAのグラフト内膜肥厚抑制効果を細胞,動物モデルのレベルで明らかにする.【結果】細胞実験では,CSDA遺伝子導入により増殖能,遊走能共に抑制されていた.またレポータージーンによる活性の評価ではE2F,NFkB,SRE,CRE,HIFの全てでCSDA導入群が有意に低く,CSDAが血管平滑筋細胞の活動を抑制することが明らかとなった.マウス大腿動脈をワイヤ障害し内膜肥厚を誘導し,超音波法でCSDAを遺伝子導入し治療効果を確認する予定であった.しかし超音波遺伝子導入に使用予定であったカチオニックマイクロバブル(レボビスト)が製造中止となり,実験条件を改めて検討する必要が生じた.現在市販されている非カチオニックマイクロバブル(ソナゾイド)を使用し検討したが十分な遺伝子導入効率を得ることができなかった.結局臨床応用されているマイクロバブルでは適当なものが見つからず,実験用に提供されているTS-601 Targesphere (ネッパジーン社)が有望であった.今後本製剤を利用し遺伝子導入を試みる.【まとめ】これまで多くの分子が内膜肥厚抑制に試みられてきたが臨床で成功したものはない.CSDAはこれまで報告のあった多くの分子の機能を一つの分子で抑制することが可能な多機能分子であり,新たな治療用分子として有望であると考えている.今後臨床に利用可能な遺伝子導入試薬としてのマイクロバブルを検討する必要がある.
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