2015 Fiscal Year Research-status Report
傷害肺におけるiPS細胞を用いた肺胞再生療法の開発研究
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25670606
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
山本 高義 千葉県がんセンター(研究所), 呼吸器外科, 医長 (20648349)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺再生 / iPS細胞 / 2型肺胞上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はiPS細胞から肺幹細胞とされているⅡ型肺胞上皮細胞を効率的に分化・誘導し、疾患モデルマウスへ経気道的に移植、その治療効果を検討することを目標としている。それにより、実臨床として慢性肺疾患患者へ、経気道的に患者自身のiPS細胞から分化させた肺幹細胞を移植することが可能となり、実現できた場合の成果は非常に大きい。 平成25年度は研究の礎となるマウスiPS細胞、ヒトiPS細胞の安定的な培養方法の確立、Ⅱ型肺胞上皮細胞への分化誘導を促進させると考えられるSAGM(small airway growth medium)の調整と片肺全摘モデルマウスの作成を行うことができた。 平成26年度はマウスiPS細胞、ヒトiPS細胞それぞれの培養技術を維持しながら、分化・誘導実験を継続した。また、Ⅱ型肺胞上皮細胞に特異的とされるSP-Cを標識できる遺伝子を作成することで、リアルタイムに細胞の選別をはかれることを想定し、目的遺伝子の作成に着手していたが、完成できなかった。 平成27年度は、まずこの目的遺伝子の完成を目指し、作成することに成功した。作成したSP-C - Pac - EGFP遺伝子は、puromycinで選別することも可能とし、最終的なⅡ型肺胞上皮細胞が得られた際の回収率の向上が望めると考えられた。実際に、ヒトiPS細胞に遺伝子導入後、SAGMで分化誘導を行い、day8の段階で蛍光顕微鏡において発色することを確認した。SAGM分化誘導前、分化誘導後の複数のタイミングで採取した細胞を、SP-Cでウエスタンブロットを行い、培養10日目、14日目のタイミングでSP-Cの発現を確認した。 未だ実験途中であり、継続申請した平成28年度は、再現性の確認と、puromycinでの選別効率、免疫染色でのSP-Cの確認を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Ⅱ型肺胞上皮細胞に特異的とされるSP-Cを標識できる遺伝子の作成に成功し、分化誘導実験を継続したが、当初の予定よりは遅れている。そのため、平成27年度の疾患モデルマウスの作成、経気道的注入は行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Ⅱ型肺胞上皮細胞の分化誘導実験の再現性の確認と、puromycinでの選別効率、免疫染色でのSP-Cの確認を行う予定である。また、SP-C - Pac - EGFP遺伝子の導入効率に関しても、改善の余地があり、ウイルスベクターを利用した遺伝子導入も検討する。 肺疾患モデルマウスの作成も同時に行い、経気道的投与を行い、効果の判定も行いたい。
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Causes of Carryover |
疾患モデルマウスの作成を見込んでの、マウス購入の予算であったが、分化誘導実験に多くの時間を費やしたため、次年度繰り越しが多くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
疾患モデルマウス作成のためのマウスの購入費用、標識遺伝子作成に必要な大腸菌、追加の免疫染色の抗体の購入予定である。
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