2014 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌根治を目指した人工肺癌幹細胞株の作製と微小環境を標的とした制御
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25670611
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
阿部 二郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), その他部局等, 特任研究員 (10573686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (10282055)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺癌 / 人工がん幹細胞 / HOTAIR |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒトの正常肺上皮細胞に癌遺伝子の活性型と癌抑制遺伝子の不活型を導入し、人工肺癌細胞を作製する。その細胞に、EMT関連遺伝子、Warburg効果関連遺伝子群を段階的に様々な組み合わせで、遺伝子導入し、自己複製能、多分化能、高腫瘍形成能などを検討することを計画した。人工肺癌幹細胞を作製するにあたり、文献的な考察から長鎖ノンコーディングRNAのHOTAIRを肺癌細胞に導入することで、人工肺癌幹細胞に近い細胞が樹立できると考えた。HOTAIRを導入したA549では、細胞遊走能は亢進した。逆にsiRNAを用いてHOTAIRの発現を抑制すると、細胞遊走能は抑制された。免疫不全マウスへの皮下移植モデルでは腫瘍形成に差を認めなかったが、尾静注による転移モデルではHOTAIR強制発現株で肝転移・骨転移を増加させる傾向を認めた。臨床検体においてHOTAIRの発現とがん幹細胞特性を確認した。非小細胞肺癌77例の癌部と同患者の非癌部肺組織におけるHOTAIRの発現を定量的RT-PCRで解析し、臨床病理学的因子との関連を検討した。非癌部に比べHOTAIR が2倍以上の高発現がみられた肺癌組織は17例(22.1%)であり、低発現例に比べ有意に、腫瘍径が大きく、T因子、N因子、病理病期が進行し、脈管侵襲を示す例が多く認められた。また高発現例で術後無再発期間が有意に短縮していた。さらに肺癌脳転移6例と比較検討すると、原発巣に比べ転移巣で有意にHOTAIRの発現が高値であった。このように、HOTAIRはこう発言することによって肺癌細胞の幹細胞特性を増強した。
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