2014 Fiscal Year Research-status Report
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25670620
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
喜多 大輔 金沢大学, 大学病院, 助教 (10377385)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水頭症 / RAGE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、髄液の産生と吸収のアンバランスによって生じる水頭症の発症原因にReceptor for advanced glycation end products(以下RAGE)が関与するか否かを探求することを目的としている。特に加齢によってRAGEの発現が増すことから、高齢者特有の疾患である正常圧水頭症(Normal Pressure Hydrocephalus 以下NPH)の発症メカニズムを解明する手掛かりになるものと期待される。またRAGE発現とアルツハイマー病で生じるアミロイド蛋白沈着との関連が指摘されており、認知症発症のメカニズムの解明についても期待できる。 現在までに内因性分泌型RAGE (以下esRAGE)遺伝子導入マウスにおいて水頭症を発生する個体の浸透率、およびesRAGE発現レベルと水頭症発生の相関についてpreliminaryな結果を得た。例数を増やしdataを確実なものとする。ヒトにおいても同様の機序があるかどうかを調べるため、NPHおよび後天的水頭症症例から得られた脳脊髄液中のRAGE発現についても検討した。しかし測定感度以下の発現量しかなかったことが判明し、この定量については断念せざるを得なかった。ヒトについては、長期に渡る水頭症患者において脳実質破壊の度合いと脳室の形状に相関があることが示唆されたため、このこととRAGEとの間に相関があるかを検討を行っている。また人工髄液使用による術後水頭症発症予防についても研究を行っており、人工髄液が止血に有利であること、血栓溶解剤の溶解液としても有用であることなどのデータを得た。その他、ヒトのNPHと慢性硬膜下血腫に総説を発表するとともに、くも膜嚢胞における血腫形成機構や脳腫瘍におけるチロシンキナーゼシグナルに関する論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物モデル:esRAGE遺伝子導入マウスにおける水頭症の浸透率、およびesRAGE発現レベルと水頭症発生の相関について結果を得た。 ヒト髄液中の濃度測定:測定感度以下であり断念した。 臨床症例:脳室拡大と老化、RAGE発現について考察中である。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルの例数を増やし、浸透率、水頭症発生の機序について論文化する。ヒトにおけるアルツハイマー型変化とNPH型変化について、RAGEがどのように働くかを検討する。さらに脳室拡大の進展にRAGEが関わることについて、脳室壁側でのRAGE発現を免疫染色、PCR法などで検討する。
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Causes of Carryover |
実験施設、協力研究者の好意により、既存の試薬の使用や実験器具が可能であったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫染色、PCRなどに使用する抗体や試薬を購入予定である。また新たな測定器具、外部記憶装置なども購入予定である。
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