2014 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍に対する音響化学療法によるブレークスルー
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25670626
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 文雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70267219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | sonodynamic therapy / aminolevulinic acid / glioma / Fibroblast Growth Factor / glioma stem cell |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、悪性神経膠腫に対する音響化学療法についての研究を継続してきた。これまでの実験でマウス皮下に移植したヒト悪性神経膠腫に対する超音波照射により腫瘍体積の縮小または消失を達成できている(Yamaguchi F., et al., Journal of Cancer Therapy, 2013, 4, 170-175)。このように、5-ALA SDTによるグリオーマ細胞増殖抑制効果はわれわれのこれまでの実験でも確認されているが、その機序については不明な点が多くそれゆえ至適条件を見出す指標がなかった。そこで、細胞増殖抑制効果のある一定条件下で、細胞増殖や細胞死に関与する因子の解析をおこなった。最近注目されているファクターで、癌の増殖に関与し癌治療を困難にしている腫瘍幹細胞のマーカーについて検討した。グリオーマ幹細胞のマーカーの中でCD133とCD15、そしてnestinの5-ALA SDTによる変化は今回の条件では認められなかった。また、超音波の温熱効果による細胞増殖抑制効果についての他の研究者からの報告もあるため熱ショックタンパクであるHSP-70の変化も解析をおこなったが処置前、処置後で大きな変化は認められなかった。次に、グリオーマの成長、増殖、維持に大きくかかわり、悪性度によってもその発現様式が変わる線維芽細胞成長因子(Fibroblast Growth Factor)とその受容体(Yamaguchi F, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:484-488, 1994.) についての解析をおこなった。結果として、超音波照射により5-ALAを用いたSDTはグリオーマ細胞のFGF2の発現を抑制した。これは、U87MG、SNB19の二つの細胞株で共通の変化であった。また、FGF2の受容体であるFGFR1の発現にも明らかの抑制効果を示していた。これらのことから、5-ALA SDTによるグリオーマ増殖抑制効果のメカニズムの一つとしてFGF, FGFRの関与が大きい可能性を示唆した。
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Research Products
(2 results)