2014 Fiscal Year Annual Research Report
血小板由来vesicleによる脊髄切断部アストロサイトの機能調節機構
Project/Area Number |
25670644
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西尾 健資 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70303790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 金沢大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252456)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 成熟ラット / 脊髄切断 / アストロサイト / 血小板 / 軸索再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでの研究で、成熟ラットの脊髄切断後数時間以内という超急性期に、再生を開始したばかりの軸索に対して、損傷部のアストロサイトが誘導的に作用することを見出したことから、通常は成熟哺乳動物の中枢神経では困難と考えられている「損傷部を超える軸索再生の誘導」も、このような超早期のアストロサイト機能の適正化によって可能になるのではないかと考えて、本挑戦的萌芽研究を提案した。そして、損傷部の超急性期反応では、重要な制御因子と考えられる血小板に着目し、血小板によるアストロサイト機能制御に焦点を当てて研究した。25年度には、研究分担者の協力を得て、ヒト血小板由来因子(培養上清分画とmicroparticle分画)を入手し、得られた血小板をラットアストロサイトの培養系に投与して効果を検討した。アストロサイトの細胞死に対する保護作用とアストロサイト細胞膜表面へのNCAM等の有効分子発現誘導作用は、有意な変化を認めなかったが、アストロサイトの突起伸展作用と遊走促進作用には、血小板は促進作用を示した。 続いて26年度には、in vivo実験系で成熟ラット脊髄切断モデルに対する血小板の作用を検討したが、損傷部アストロサイトに対する保護作用を認めず、軸索再生誘導への積極的な促進作用も認めなかった。 これらの結果より、損傷超急性期に血小板によって損傷部アストロサイトが突起伸展等の機能修飾は受けるが、軸索再生に対して誘導的に作用するものではないと判断された。 ただ、このような成熟ラット脊髄切断実験を繰り返す過程で、特定の条件下で、単純な脊髄切断だけでなく、脊髄を異なる二カ所で切断してこれに挟まれる領域を切除し、頭側断端と尾側断端を接合した場合(脊髄短縮術)でも創部を越えて軸索再生が起こることを見いだした。今後、この点についても検討して行きたい。
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