2013 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷修復作用をもつヒト歯髄由来細胞の特性の解明とその医学的応用
Project/Area Number |
25670654
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00308280)
宗宮 仁美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (20548713)
國貞 隆弘 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30205108)
柴田 敏之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226172)
手塚 建一 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50236973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 細胞移植 |
Research Abstract |
国内の脊髄損傷の患者総数は約10万人であり、毎年 5000 人が新たに受傷している。脊髄に損傷を受けると損傷部より下位の運動・知覚機能が失われてしまう。中枢神経系では軸索再生が困難であり、失われた機能が回復することはない。抜本的治療法の開発が切望されている。申請者らはFGF2に応答性のラット脊髄内在性線維芽細胞 (FIF) 細胞あるいはヒトの歯髄細胞を脊髄損傷モデルラットの損傷部に移植すると、運動機能が顕著に改善することを見出している。本研究ではこの成果を臨床応用に結びつけるべく、研究を展開している。 FGF2の添加の有無により培養した1ドナー由来の細胞を脊髄損傷モデルラットの損傷部に移植したところ、顕著な運動機能回復効果を示したが、FGF2 不含培地で培養した同じドナー由来の細胞では細胞非移植群と同様に麻痺した後肢の運動機能回復は認められなかった。また、同年齢、同性別かつ歯牙形成のステージもほぼ同等の3種のドナー由来の歯髄細胞を FGF2 を含む培地で培養して移植したところ、2種のドナー由来歯髄細胞の移植では顕著な運動機能回復効果を示したが、残り1種のドナー由来歯髄細胞では細胞非移植群とほぼ同等に麻痺した後肢の運動機能回復が認められなかった。したがって、歯髄細胞の移植による脊髄損傷モデルラットの運動機能回復効果には歯髄細胞のドナーによる違いが大きく関与することが示唆された。また、それぞれ移植前の歯髄細胞の遺伝子発現プロファイルを cDNA マイクロアレイ法を用いて検討しており、いくつかの遺伝子が差別的に発現していることを明らかにした。 FIFについてはサル脊髄から形態の類似した細胞を誘導できることを見出しており、この細胞の性状検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞移植法の改善 (損傷後から移植のタイミングや細胞の移植方法の検討など) に関する事項の検討が若干遅れている。当初の予定では、損傷直後の細胞移植と同様に細胞懸濁液を損傷部に流し込む予定であったが、損傷から1週間経過すると、組織の浮腫や癒着により切断面が不明瞭になることが分かった。したがって、脊髄固定器を用いて脊髄を動かないように固定して、装置に固定したガラスキャピラリーを用いて注入する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
A. 移植した細胞の生着率や分化状況を明らかにするために免疫染色法を用いて各種神経系細胞のマーカーの発現を検討する。移植細胞は Human Nuclei Antigen もしくは GFP発現ユニットをウイルスベクターを用いて導入することによって追跡できるようにする。 B. 安全性試験、歯髄由来細胞には腫瘍形成能はないと考えられているが、念のためにFGF2 を処理した歯髄由来細胞を免疫不全マウス(SCID マウス)に移植し、奇形種の形成の有無を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯髄細胞の安全性に関する項目については効果のあった細胞のみについて行うため、今年度分の開始が遅れたため。 前年度遅れ分の動物代を含み、動物代、飼育代、物品購入費として使用する。
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Research Products
(4 results)