2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25670668
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 達郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00313536)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タニケットペイン / フラビン蛍光蛋白 / 脊髄 / 大脳体性感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
四肢の一過性虚血後にはしびれを生じる。虚血再灌流後の末梢神経の過活動が機序の一つとして考えられているがはっきりとはわかっていない。過去に末梢神経を切断し伝導遮断を起こすと脊髄の可塑性変化をきたし異常感覚を生じるという報告がなされている。虚血によっても伝導遮断が引き起こされるため、一過性虚血後のしびれにも神経切断時と同様の脊髄メカニズムが関与している可能性がある。そこで我々はフラビン蛋白蛍光イメージング法を用いて、左後肢の振動刺激に対する脊髄のフラビン応答を解析した。ウレタン麻酔下のマウスの左後肢に振動刺激を与えると、L1,2椎体レベル左側に応答を認めた。左後肢に250 mmHgの圧力を30分間加え虚血状態としたところ応答は消失した。血流を再開すると速やかに回復し、虚血前と比較して増強した。von Frey試験では血流再開後に虚血側の閾値の低下を認め、しびれが生じているものと考えられた。脊髄後角ニューロンにはTypeII代謝型グルタミン酸レセプター(mGluR)が存在しており、Aβ線維の自発発火により賦活され後角ニューロンに対して抑制性に働いていることが知られている。前述の末梢神経の伝導遮断による脊髄の可塑性変化は、Aβ線維の自発発火が消失しmGluRが賦活されなくなり、後角細胞の抑制作用が消失し異常感覚を生じると考えられている。したがってmGluRのアゴニストを投与することで虚血後のしびれは抑制される可能性がある。L1椎弓を切除し、脊髄に直接mGluRを投与し虚血としたところ、脊髄のフラビン応答の増強は阻害された。また、mGluRを髄腔投与した後に虚血としたところvon Frey試験による閾値の低下は認められなかった。即ち、一過性虚血後のしびれには、虚血により末梢神経の自発発火が消失し、TypeII mGluRが賦活されなくなることで生じるといった脊髄機序が関与している。
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Research Products
(1 results)