2014 Fiscal Year Annual Research Report
冬眠の各種治療への応用(HP Complexに注目して)
Project/Area Number |
25670669
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 善一 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (50252002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 冬眠 / HP Complex / タンパク合成 / コールドショック |
Outline of Annual Research Achievements |
冬眠のシステムを医療に応用できれば、心肺蘇生後の低酸素脳症に対する軽度低体温療法や、弓部大動脈解離に対する人工血管置換術中の低体温下体外循環中など、様々な状況で有用である可能性がある。近年、冬眠には Hibernation Protein Complex (HP Complex) が重要な役割を演じている事が発見された。しかし、HP Complex は現在シマリスから採血した血液から精製することによりのみ得られており、一般の研究者が HP Complex を用いて冬眠の研究を行うことは非常に困難な状況である。本研究は、HP Complex を cDNA をもとに遺伝子組み換えの技術を利用して人工的に合成し、冬眠のシステムを他の種(本研究ではラット)にも応用できないか調べようとする研究であった。cDNA からのタンパク合成は非常に困難であり、他の方法では全く合成できないかあるいは非常に少量しか合成できなかった。しかし、今回コールドショックタンパク合成システムを用いたところ、HP Complex の構成成分である、HP-20、HP-25、HP-27 の 3 種類のタンパクの安定した合成が可能であることが分かった。今後、これらのタンパクを大量に合成・精製することにより、HP Complex を用いた冬眠の研究ができるようになると考えるが、精製や他の動物への投与はいまだできておらず今後の課題である。
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