2015 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンHSP70の妊娠における機能の解明と新規早産予防法の開発
Project/Area Number |
25670696
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 隆博 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (90313147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
分子シャペロンHSP70の妊娠現象における働きを解明し、その誘導剤テプレノンの早産予防効果を確認することが本研究の目的である。早産は脳性麻痺等の大きな原因となっており、本人・家族への負担、社会への負担の大きさが世界的な過大となっている。しかし早産の原因は多くの場合不明であり、対策も安静や子宮収縮抑制剤投与等の対症療法にとどまっている。そのような対策の効果も限定的であり、実際早産率は減少していないとされる。テプレノンは胃粘膜保護剤として広く使用されている比較的安価な薬剤であるが、HSP誘導作用が証明されている唯一の薬剤である。近年胃だけでなく炎症性腸疾患に対する有効性が動物実験で示されている。早産の原因の一つとして絨毛膜羊膜炎、すなわち子宮頸部の炎症が示されており、その新しい治療法としてテプレノンの有効性を検討することを目的とした。まず絨毛癌細胞株BeWoの培養系の安定性を確認し上清でのHSP70濃度の計測を試みたが、濃度が低く、他の細胞株JAR,JEG-3においても解析可能な濃度が得られなかった。そこでBeWoの浸潤能、増殖能へのテプレノンの作用を検討したが、浸潤能、増殖能の安定した測定系の確立に時間を要し、またテプレノンで明らかな変化を認めなかった。また胎盤におけるHSP70の発現を免疫組織染色で検討したが非特異的な染色パターンしか得られなかった。そのためヒトでの検討に至らなかった。
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