2013 Fiscal Year Research-status Report
分葉状子宮頸管腺過形成(LEGH)の自然史と腫瘍性性質の解析
Project/Area Number |
25670699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70418721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩沢 丹里 信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
石川 香織 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (70646653)
橘 涼太 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (90623687)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性腺腫 / 分葉状頸管腺過形成 / 臨床診断 / 臨床経過 / 細胞診 / 胃型粘液 / MRI / クロナリティー解析 |
Research Abstract |
子宮頸部に多嚢胞性の病変を形成する疾患として、悪性腫瘍では子宮頸部悪性腺腫(MDA)や腺癌、良性疾患では分葉状頸管腺過形成(LEGH)や貯留嚢胞(NC)が知られており、従来より術前の鑑別は困難とされてきた。我々は2011年にこれらの疾患の術前鑑別(臨床診断)法を提唱したが、本研究では、それに基づき臨床診断した症例の経過観察を行っている。臨床診断は細胞診、MRI、胃型粘液検出を組み合わせて行うが、これまでに検討した84例の臨床診断は、悪性疑い10例、LEGH 52例、NC 22例であった。悪性疑い10例には子宮摘出術が行われ、うち4例が悪性、1例は前癌病変とされる異型LEGH、5例はLEGHであった。LEGH例のうち8例で子宮摘出や円錐切除術が行われたが、病理診断結果は全例LEGHであった。LEGH39例 およびNC12例は、手術せずに1年以上経過観察されているが、これまでに癌化例は認めていない。一方、3例に多嚢胞性病変の増大が認められたため子宮摘出術を施行したが、うち2例で異型LEGHと病理診断された。これらのことから、本臨床診断法は悪性症例の抽出や経過観察に有効と考えられ、また、病変の増大は悪性化を示唆する初期の重要な徴候と考えられる。 また、我々はアンドロゲン受容体遺伝子(AR)の不活化パターンからクローン性を解析したところ、一部のLEGHはモノクローナルであり、またLEGHと近接する悪性腫瘍部分のAR不活化パターンは一致した。これはLEGHがMDAなどの前駆病変としての性格を持つことを示すものである。 これまで、LEGHがMDA等の前駆病変となる可能性が指摘されているが、それをクロナリティーの観点から示した。また、LEGH経過観察中に悪性化を疑う最初の徴候は明らかではなく、今後、さらに多くの症例を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床診断症例は順調に蓄積しており、研究全体としては、おおむね順調に進展している。経過観察中の癌化例は未だ0例であり、発癌過程における臨床的な徴候を検討するためにはさらに多数例での検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究計画の通りに遂行する。今後も臨床診断症例を蓄積していく。さらに、癌化に関わると考えられる因子の発現について、免疫染色で検討を行う。また遺伝子変異も検討していく。 経過観察中の癌化例が未だ0例であることから、発癌過程における臨床的な徴候が確認できていないが、これは言い換えれば癌化率が低い、もしくは癌化まで長期間かかることを示す新たな知見であると言え、研究遂行上、現時点で大きな問題ではない。
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Research Products
(2 results)