2013 Fiscal Year Research-status Report
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25670704
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 勝彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70453165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 羊水塞栓症 / 診断マーカー |
Research Abstract |
プロテオミクス解析による羊水特異物質の確認試験を行った。満期妊婦陣痛未発来(予定帝王切開)および満期妊婦陣痛発来妊婦の各5 例から帝王切開時に羊水・母体血・膣分泌物を採取し保存した。これらのサンプルを用いて、2 次元電気泳動後質量分析法により羊水特異物質の確定を行った。さらに我々が予備実験で同定した44 種類のタンパクの羊水特異性の確認試験を再度行い、候補タンパクを絞った。 母体血中に対して羊水濃度の高いタンパク上位10 位の選別を行った。最近、我々が同定した羊水特異物質(羊水/母体血中比がきわめて高い)のうちでELISA が市販されている物質として、IL-6, SCC, IGFBP-1, Osteopontin, CA125, STN がある。プロテオミクス技術により測定した羊水/母体血中比はそれぞれ約1000, 1000, 150, 100, 100, 50 であった。これ以外に羊水特異物質として同定されたPINP, MCA, BNP, SOD, PSA, TPS, IL-8, POMC, hCGb,ActivinA, PRL, sTNFp55, CgA, AFP 等について抗体が市販されているものについて検討し、ドットブロットアッセイを行い羊水/母体血中比の高いタンパク上位10 位を確定した結果、IL-6 、IGFBPとSCC が有力候補であった。IL-6とIGFBPは陣痛の有無により濃度差を生じた。以上の結果、SCCA1が羊水特異的タンパクとして同定、陣痛により影響を受けないことも判明した。以上より、羊水塞栓症マーカーの特異的マーカーとしてSCCA1を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規羊水塞栓症マーカーとしてSCCA1を決定することができたため、予想以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
羊水塞栓症に対する感度・特異度の検討及び免疫染色実験を行う。我々は日本産婦人科医会が実施している「羊水塞栓症研究班」に属しており、今まで150 例以上の羊水塞栓症及びそのニアミス例のデータバンクを有している。この血清や臨床データを利用するとともに、当科で保存してある周産期合併症症例、子宮破裂、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、前置胎盤などの症例も追加して羊水塞栓症診断のための感度・特異度を検討する。同時に羊水塞栓症およびコントロール(法医学より提供)の肺組織を用いた免疫染色を行う。 ELISA を用いた定量診断を行う。妊娠中の各時期における頸管粘液および膣分泌物のIL-6 とSCC 濃度をELISA で定量する。 簡易半定量測定法の試作を行う。研究分担者は、簡易半定量測定法試作のため、現在でもアルフレッサファーマ株式会社と共同研究を行っており、妊娠反応試薬と同様にクロマト法による半定量キット作成の技術を有している。羊水特異的と判断した44 種類のうち、約20 種類の抗体を現在入手し保管してあるため、上位10 位までのタンパクに対して簡易半定量測定キットを試作することができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他のの科研費から各種抗体や測定にかかる費用を捻出することができた。また、浜松大の羊水塞栓症グループとの連携により、当方の費用の持ち出しなく、羊水塞栓症患者の血清マーカーを測定いただいたため、大幅な費用削減が可能であった。 正常分娩前後に血液を保存し、SCCの推移を測定することにより、正常分娩時に流入する羊水量が評価できる。次に陣痛のある帝王切開妊婦と陣痛のない帝王切開妊婦の血中SCC濃度の変化を比較する。 最後に、産科的な原因で摘出した子宮を用いて、SCCを含めた従来の羊水特異的マーカーZnCP1とSTNの染色態度を比較することにより、SCCの優位性を評価する。当科で保存してある周産期合併症症例、子宮破裂、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、前置胎盤などの症例も追加して羊水塞栓症診断のための感度・特異度を検討する。同時に羊水塞栓症およびコントロール(法医学より提供)の肺組織を用いた免疫染色を行うとともに、ELISA を用いた定量診断を行う。
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Research Products
(1 results)