2013 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌患者における頸部脂肪関連リンパ球集族の網羅的ゲノム機能解析
Project/Area Number |
25670712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
茶薗 英明 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70313806)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頸部脂肪組織 / 脂肪関連リンパ球 |
Research Abstract |
我々は頭頸部癌患者の頸部脂肪組織内にリンパ球様の細胞群を2007年に見出し脂肪関連リンパ球集族と命名した。これら細胞集団は、リンパ節と異なり被膜を持たず、脂肪細胞の間隙に存在している。以前、この細胞群の中に扁平上皮癌が増殖している稀な症例を見出したことにより、この被膜を持たない細胞集団が癌のリンパ節の重要なメカニズムを解明できるのではないか考え検討の対象としている。これまでの検討では放射線治療の有無によって細胞数の変化があり、癌の悪性度との関連についてもある程度の関連の傾向をとらえ、リンパ節と似ているがその構造を持たない細胞集団として注目している。 昨年度は手術後検体の作成準備として①癌の原発巣 ②リンパ節 ③頸部脂肪組織の3 種類に標本を分類して病理検査を行う。頸部郭清術後に頚部リンパ節は頸部レベル分類に基づいて人為的に抽出されそれぞれ個別に病理診断に提出される。このとき肉眼的にリンパ節と確認できるリンパ節をすべて抽出している。最終的に残った脂肪組織を固定後に細切して脂肪の間隙に、頸部脂肪関連リンパ球集族(頸部FALC)を抽出し保存、検討の準備を行っている。 頸部郭清物から本来のリンパ節転移の有無を病理学的に検討し、病期決定を行っているが、通常リンパ節と認定できない脂肪組織内にある細胞集団を効率よく採取するため、多くの脂肪組織より細胞集簇の多い部位について選択的に脂肪関連リンパ球として集めて保管している。今後解析作業に移る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例は9例集積し、ホルマリン固定にて保存されている。今後、症例の集積の一定段階で解析に移るためパラフィン包埋、切片の作成を行う予定。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、脂肪組織から新鮮凍結切片を作成しレーザーマイクロダイセクション法により頸部脂肪関連リンパ球集族組織のみを回収する。次に回収した組織からRNA を回収し頸部脂肪関連リンパ球集族で発現している遺伝子を網羅的に解析する。 また採取した細胞は幹細胞である可能性もあるため多能性幹細胞の検討も行いたいと考える。STAT3 伝達系による調節に依存することなく、多能性と自己複製能維持のシグナル伝達系に関与するNanog 抗体は、ヒト、サル、マウスの幹細胞の未分化状態の確認に適した分子マーカーであり、今回の研究対象とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬の購入による、実際の解析が今年度行う予定である。そのため昨年度での決済が少額になっている。今年度、解析をすすめ、結果を報告する予定。 脂肪組織から新鮮凍結切片を作成しレーザーマイクロダイセクション法により頸部脂肪関連リンパ球集族組織のみを回収する。 次に回収した組織からRNA を回収し頸部脂肪関連リンパ球集族で発現している遺伝子を網羅的に解析するため、試薬購入などの実費、論文作成、学会発表に関連した使用を計画している。
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