2014 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛血管条辺縁細胞におけるスフィンゴミェリンによるKCNQ1の調節機構の解明
Project/Area Number |
25670719
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宋 文杰 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90216573)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | SMS1 / KCNQ1 / KCNE1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スフィンゴミェリン(SM)によるKCNQ1の調節機構を解明することを目的にしている。従来の知見では、SMがKCNQ1に直接作用するか否かは不明なため、まず単一の細胞でスフィンゴミェリン合成酵素(SMS1)活性を操作して、KCNQ1活性に変化が見られるかを検討した。カリウムチャネルを低いレベルで発現しているHEK293-T細胞をモデルに用いた。これまで、1)この細胞にKCNQ1/KCNE1電流の導入、2)SMS1阻害剤であるD609による電流密度の低下と電流の性質の変化、3)SMS1の発現を特異的に抑制するshRNAによる電流密度の低下、を示し、SMS1活性がKCNQ1/KCNE1チャネルの性質を変えずに、形質膜における密度を調節することが強く示唆された。本年度では、まず、SMS1の強制発現によって、KCNQ1/KCNE1チャネルの形質膜における密度が増加することを示した。これにより、SMS1活性がKCNQ1/KCNE1チャネル密度を調節することが確実の現象として証明した。そのメカニズムを調べるために、SMS1に調節されるDAGに注目し、PKDの阻害剤を投与したところ、電流密度が顕著に低下した。このPKDによる電流密度の低下がSMS1による調節と同一の信号伝達系であるか否かを調べるために、SMS1ノックダウンとPKD抑制による効果が加算的であるか否かを検討した結果、非加算的であることが判明し、PKDはSMS1の下流にあることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要から、本研究は、SMS1がKCNQ1/KCNE1チャネルを調節することを確実に示し、また、そのメカニズムの一端を示すことができた。研究の計画段階では、SMが果たしてKCNQ1/KCNE1チャネルを調節するかどうかは全く不明であったことを考えると、ここまで研究がおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ノックダウン実験やオーバーエクスプレッション実験では、メッセンジャの変化などの確認実験を行う。また、SMS1によるKCNQ1/KCNE1チャネルの調節機構を更に追求し、論文発表を行う。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に、SMS1とKCNQ1/KCNE1の関係の分析を行い、その結果をもとに、スフィンゴミエリン分析を行うとともに、論文発表する予定であったが、スフィンゴミエリン分析の結果がジアシルグリセロールの関与が示唆されたため、計画を変更し、ジアシルグリセロールの解析を行うことにしたため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ジアシルグリセロールの解析と論文発表に未使用額を使用する。
|