2013 Fiscal Year Research-status Report
表面抗原発現パターンの解析による網膜芽細胞腫の病型分類の試みと治療戦略への応用
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25670726
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60240735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 網膜 / 網膜芽細胞腫 / 表面抗原 / ケモカイン |
Research Abstract |
本研究は網膜芽細胞腫の臨床摘出サンプルをFACSにて表面抗原の発現を解析することが研究の中心となる。このため、計画では、網膜芽細胞腫摘出サンプルについて、国立がんセンターから年間10例程度、国立成育医療センターから数例程度の提供を期待していた。しかしながら、全摘手術の減少傾向その他の理由により、適用となる提供が一例もなく、このため、帝京大学病院眼科も提供先として協力をえることにし、現在、倫理申請の手続をおこなっている。このため、主に26年度に計画していたCXCR4変異を持つマウス網膜を用いた研究を前だおしして行った。CXCR4が網膜プロジェニター細胞の増殖に関与することが示唆され、より詳しい検討を行っている。 一方、本年度計画していたタンパク質との共染色について技術開発を行った。細胞をdetergentで穴をあけ、細胞内タンパク質を抗体で染色し、表面抗原との共発現状態について様々な分画で検討し、基礎データベースを作成した。さらに、染色の条件検討をおこなって、細胞内蛋白質抗体で染めた後、セルソーターで細胞を分取し、その遺伝子発現を検討する事が可能になった。これにより、「マウス、マーモセットで発現の確認された表面抗原の多くは、発現が確認されただけで、どの系列のマーカーとなっているかはあきらかではない」という課題について、遺伝子発現の検討により、明らかにすることが技術的に可能になった。マーモセットの網膜の細胞の提供を得て、現在、その作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は網膜芽細胞腫の臨床サンプルを使った研究と、それに対応する基礎研究とで構成されている。しかし臨床サンプルについて、当初計画していた国立がんセンターなどから年間10例程度のサンプルの提供が、全摘手術の減少傾向その他の理由により、えられなかったため、この計画については当初の予定に遅れが生じた。しかしながら基礎研究を前倒ししておこなっため、研究期間全体としてはほぼ順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に行えなかった網膜芽細胞腫摘出サンプルについて、表面抗原の発現パターンを検討を行う。新たに加えた病院も含めて臨床サンプルの提供が期待される。これらについて計画に従って、表面抗原の発現パターンと臨床情報との関連づけ、病理写真での未分化型、分化型の情報:病理の写真中のロゼッタの形成の有無で判断する。また網膜芽細胞腫として診断され治療が行われていないサンプル、硝子体に播種したサンプル、抗がん剤治療後の再発例、などの分類情報と、予後の情報増殖因子との関連について検討を行う。 初年度に前倒しして行った、CXCR4の基礎研究について引き続き解析を行う。また、25年度に開発した細胞内タンパク抗体で染色した細胞の遺伝子解析技術を利用して、表面抗原が認識する細胞群の性質について、臨床サンプル、マウス網膜サンプルについて検討を継続する。必要に応じてマーモセット眼球サンプルで霊長類サンプルの情報を充実させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に臨床サンプルの解析を計画していたが、当該手術の減少などにより、予想していた臨床サンプルの入手ができなかった。この研究項目には抗体など高価な試薬を多数利用すするため予算をこの部分に充当するよう計画していたが、二年度に実施するように計画を変更したため、25年度ではなく26年度に使用する事とした。 臨床サンプルの解析、初年度に前倒ししておこなった基礎研究の試薬類として利用する。また万一、臨床サンプルが予想以下にしか入手できなかった場合は、確実に入手できるサル(コモンマーモセット)の眼球を用いて、霊長類サンプルとして、本研究の目的に利用できる基礎データをとる予定でいる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Transposon mutagenesis identifies Foxr2 as a putative oncogene in medulloblastoma2014
Author(s)
Koso, H., Tsuhako, A., Lyons, E., Ward, J. M., Rust, A. G., Adams, D. J., Jenkins, N. A., Copeland, N. G., Watanabe, S.
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Journal Title
Can Res
Volume: 74
Pages: 2351-2361
Peer Reviewed
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