2014 Fiscal Year Research-status Report
視細胞前駆細胞株をもちいた杆体細胞錐体細胞分化機構の解明
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25670740
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
廣津 千恵子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (90647174)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜前駆細胞 / 視細胞前駆細胞 / SDF1 / CRX1 / ロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜組織は中枢神経系由来の組織で再生能を持たない。各種の幹細胞から視細胞を分化誘導して移植することで視覚の再獲得できることが報告されている。我々はiPS細胞から網膜を構成する様々な細胞を分化誘導してこれらを移植応用する事をめざしている。ここではマウスiPS 細胞にpax6 を導入し作成した網膜前駆細胞株 (Hirotsu C, et al. Establishment of retinal progenitor cell clones by transfection with Pax6 gene of mouse induced pluripotent stem (iPS) cells. Neuroscience Letters 2012.2 509(2): 116-120)を用いた。この細胞株はほぼ全てがβⅢ tubulin陽性の神経細胞で様々な成長因子、ケモカインに反応して更に分化する。この細胞はSDF1の受容体であるCXCR4を細胞表面に発現している。SDF1存在下での培養により視細胞前駆細胞マーカーである CD73を発現する(最大陽性率 93%)。SDF1は視細胞分化に関わる転写因子群のうちotx2, rx, crx, nrlの発現を増強して、一方、mst1やtrβ2の発現には影響しなかった。さらなる検討は必要だが至適濃度のSDF1存在下では Rhodopsin陽性細胞群は Rhodopsin50%程度陽性となっている。この方法でかなり高純度の杆体視細胞が得られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜前駆細胞の視細胞前駆細胞への分化誘導が、外的なケモカインの影響により調節されている事をほぼ証明できた。今後はさらに高純度の杆体視細胞と錐体視細胞を得られるように培養条件を変更することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトでの応用を考えた場合には純度80%から90%程度の杆体視細胞を回収する事が必要と想定している。ケモカインや成長因子、さらには視細胞分化を調節する転写因子を応用する事で高純度視細胞を回収するための、細胞分化の理論的裏付けを得る。
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Causes of Carryover |
効率的な実験を心掛け、実験規模の縮小を行いつつも、実験そのものは十分な精度で行った結果、少額ではあるが、節約が出来た。これは選定した網膜前駆細胞株の、増殖活性が予想外に高かったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複数の網膜前駆細胞株で、同様の実験結果が得られる事が、実験の再現性を保証する。次年度は、多数の網膜前駆細胞株を用いて実験を行い、結果を総合的に理解する一助とする。
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