2014 Fiscal Year Annual Research Report
非接着培養で形成される凝集塊の未分化性獲得機構の解明
Project/Area Number |
25670754
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40224919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 瑠加 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445392)
荒牧 典子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80365311)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、線維芽細胞を非接着培養皿を用いて培養し細胞凝集塊を形成すると、細胞がある程度未分化な状態に変化することを示した。本研究では、マウスの線維芽細胞からクローンを作成することで、この未分化性獲得の機序が、エリート仮説によるものか、脱分化仮説によるものか検討を行っている。平成26年度は、平成25年度に引き続き、クローンから作成した各細胞塊の未分化性の差異について検討を行った。その結果、同一のクローンから作成した細胞塊の間でもreal time PCRによる未分化マーカーの発現が同一ではなく、差異が生じることが判明した。また、形成された細胞塊の大きさによっても、未分化マーカーの発現に違いが生じることが判った。 これらのことから、たとえ単一の細胞から分裂した線維芽細胞であっても、細胞塊を形成する段階で、周囲環境の違いにより、さまざまな未分化マーカーの発現の差異を生じ、未分化性の高い細胞が、継代を行い、細胞を増殖させてもその性質が維持されるわけではないことが示された。また、RIKENより非常に未分化な細胞で発現しているOct-4 GFPマウスを入手した。交配させ、新生仔、また胎生15日の胎仔皮膚を観察したが、この段階では、皮膚の中にOct-4陽性細胞は観察されなかった。このため、Oct-4陽性細胞を組織から分離することはできなかった。また、新生仔より培養を行った線維芽細胞に細胞凝集塊を形成させ、1ヶ月間培養を行ったが、Oct-4を発現することはなかった。細胞凝集塊形成により、初期胚に相当するものまでは、未分化にならないことが示唆された。
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