2014 Fiscal Year Research-status Report
脱分化脂肪細胞(DFAT)を用いた血流不全組織の救済法の検討
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25670755
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
樫村 勉 日本大学, 医学部, 助教 (20570740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 准教授 (00246589)
下田 勝巳 日本大学, 医学部, 助教 (00266793)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
仲沢 弘明 日本大学, 医学部, 教授 (60180270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱分化脂肪細胞(DFAT)によるSD系ラット背部皮弁の生着域の拡大効果について検討を行った。平成25年度までに、皮弁の基部にDFATを投与することにより皮弁内の新生血管が増加し皮弁生着域が有意に拡大することを明らかにしてきた。 平成26年度には、ドップラー血流計ならびにGFPスジェニックラットより得られたDFAT(以下:GFP陽性DFAT)より皮弁生着域拡大のメカニズムについて検討を行った。 ドップラー血流計を用いた皮弁血流の検討については、対照群とDFATを皮弁挙上と同時に皮弁の基部から2㎝末梢に皮膚筋層下結合組織に1×106cells/0.1ml注入した皮弁基部投与群の検討を行った。皮弁の挙上直後ならびに皮弁の挙上後2週間でドップラー血流計による皮弁内血流の測定を行った。両群間に有意な差異を認めなかった。 GFP陽性DFATによる検討については、GFP陽性DFATを皮弁挙上と同時に皮弁中央部ならびに皮弁基部より2cm末梢の皮膚筋層下結合組織に1×106cells/0.1ml注入する2群を作成した。術後1週間でGFPの免疫染色を行ったが、皮弁中央投与群と皮弁基部投与群いずれもGFP陽性を示す細胞は認められなかった。術後5日目にGFPの免疫染色を行った場合、皮弁中央投与群ではGFP陽性細胞を認めなかったが、皮弁基部投与群で注入部位に一致してGFP陽性細胞を認めた。また、新生血管のマーカーであるisolectinB4の免疫染色では、GFP陽性細胞の周囲にisolectinB4陽性細胞を多数認めた。しかしながら、GFPとisolectinB4との二重陽性を示す細胞は認めなかった。 平成26年度の検討では、皮弁基部に投与されたDFATが血管への分化したvasculogenesisではなく、周囲組織へのparacrineによる皮弁内新生血管の増加が皮弁生着域拡大の主要因と考えられた。また、皮弁基部投与群は、DFATの生着が得られず皮弁生着域も拡大しなかったものと考える。 これらの成果を、国際学会・国内学会ならびに論文により発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験モデルにおける皮弁内血管増加による皮弁生着域拡大効果のメカニズムの検討を行った。皮弁基部投与群では、DFATによるparacrineによることを明らかにした。メカニズム解明のためのプロトコール作成に時間を要した。 平成27年度は、深下腹壁動脈穿通枝皮弁(DIEP Flap)の生着域拡大効果ならびに同種DFATによる背部皮弁の生着域拡大効果について検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までに自家DFATのSD系ラット背部皮弁の生着域拡大効果を確認し、そのメカニズムに関する検討を行った。 平成27年度では、臨床応用を視野に入れた実験を行う予定である。 ①深下腹壁動脈穿通枝皮弁(DIEP Flap)に対するDFATの生着域拡大効果の検討 DIEP Flapは、乳房再建に瀕用される皮弁である。しかしながら、皮弁遠位の血流障害を生じ易いため、種々の皮弁血流増加法が模索されている。SD系ラットを用いたDIEP Flapモデルを用いてDFAT投与により皮弁生着域を拡大しうるかを検討し、遠位まで安定した血流を有するDIEP Flapの確立を目指す。 ②同種DFATによる背部皮弁の生着域拡大効果についての検討 乳房再建などは、待機手術でありDFAT調整のための時間も十分に確保できるため自家DFATによる治療が可能である。しかしながら、外傷等の緊急を要する場合にはDFATの調整を行う時間的余裕がない。そこで、Wister系ラットより調整し凍結保存したDFATをもちいて、SD系ラットの背部皮弁に対する生着域拡大効果を検討し、自家移植と同等の皮弁生着域拡大効果がえられるかを検討する。交通外傷などに代表される皮膚剥奪創などの治療への応用を目指す。
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Causes of Carryover |
免疫染色に要する試薬などを購入予定であったが、外注により支出を削減できた。また、薬剤や器具を他の実験系と共用が可能であり支出が削減できたため余剰金を生じた。 来年度はあらたな2つの実験系を予定しているため、これまでの余剰金を使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
深下腹壁動脈穿通枝皮弁(DIEP Flap)に対するDFATの皮弁生着域拡大効果に関する検討と同種DFATによる背部皮弁の生着域拡大効果につき検討する予定であり、これらの実験系に使用する実験動物・試薬・機器などを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)