2014 Fiscal Year Research-status Report
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25670771
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
平出 敦 近畿大学, 医学部, 教授 (20199037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 救急 / 応需 / 救急活動記録 / 搬送時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で主要な目標としていた解析は、大阪市消防局の救急搬送記録にもとづくデータを用いた急性薬物中毒患者の解析である。解析を進めた結果については、一定のまとめができ、“Characteristics and trends of emergency patients with drug overdose in Osaka”のタイトルで、平成26年度に、Acute Medicine & Surgeryに採択された。すでに出版に至ることができた(Acute Medicine & Surgery 2015, doi:10.1002/ams2.107)。内容のすべてがインタネット上で公開されている。この解析から急性薬物中毒患者の救急応需は、逼迫しており、年々、受け入れに困難をきたしている実態が明らかにされ、救急応需の基幹的問題の一部が一つの視点から明らかになった。平成27年度には、救急応需の基幹的な問題について、他の視点からもさらに検証をすすめる予定である。たとえば、大阪市消防局のデータにおいて、薬局・薬店での救急コールについては、どの程度の事例があり、どんなケースがあるのかという検索を進めている。新しい検討は予備的ではあるが、2008年から2011年で627件の救急コールが薬局よりあり、内訳は外傷124件、失神74件、めまい58件、けいれん発作41件、呼吸困難33件等であった。また、学校におけるイベントに関しても検討を行い、まず、心停止に関して検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
救急応需の問題に影響を与えている最大の原因の一つとして、急性薬物中毒をとりあげたが、この解析については、密度の高い解析ができ、英文論文として発表することができたため、ひととおりの区切りがついた。しかし、救急応需の基幹的な問題は、根深い社会的な問題と結びついており、また、今回の解析で新しい解決法の提案に結びつけるためには、さらに別の視点からも解析を進める必要があり、挑戦的萌芽研究としての趣旨を生かして、検討範囲を広げていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のもっとも主要な目標は、救急応需の基幹的な問題に影響が大きいと考えられる薬物のオーバードーズの問題について科学的視点から解析をすることであり、その成果を出版することができた。今後、救急応需の基幹的な問題について、解決策を探ることは今後の研究の推進方策のひとつである。本研究では、救急医療機関の負担を中心的な問題としてターゲットにしてきたが、今後の方向性としては、医療機関だけでなく、社会的な広がりの点から手がかりを見つけていくべき課題である。たとえば、近年、薬剤師の救急領域での業務拡大や救急救命士の救急医療機関での雇用がとりあげられているが、この面からも検討をすすめることを考慮している。薬剤師に関しては、病院の薬剤師だけでなく薬局等の薬剤師に関しても救急医療とのつながりを検証しており、薬局からの救急車要請の検討を行う。さらに、一般の方々の救急に対する関心や啓発も重要であり、蘇生の啓発活動を通じた救急応需の基幹的問題に対する関心を掘り起こすことも今後の研究の推進方策として考慮している。
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Causes of Carryover |
当初の予想以上に研究が進展して、もっとも主要な課題である薬物中毒患者に関する救急応需の問題に関しては、すでに論文化して公表することができたため、研究費用としては、余剰が生じた。解析は一段落したものの今後の研究の推進方策で、さらに別の視点から救急応需の基幹的問題に関して検討を始めており、本研究のデータ解析を再度はじめており次年度に投入する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
急性薬物中毒患者の救急応需に関する検討とは別の視点から、救急応需に関連する医療者に関する検討を行い、本研究の問題である救急応需の基幹的問題に何らかの提言や解決策の糸口を得ることをめざす。このため薬局等からの救急車要請に関する検討を行い、薬剤師の関与や支援の可能性に関して検討を行う。現在、救急に強い薬剤師をめざしてバイタルサインがとれる薬剤師、フィジカルアセスメントができる薬剤師の養成が進められているが、薬局からの救急車要請でバイタルサインがどのようであったか、薬剤師による評価がどの程度、重要であるかを検討する。
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Research Products
(1 results)