2013 Fiscal Year Research-status Report
Gemininタンパクの分解制御の破綻がもたらす癌化機構の解明
Project/Area Number |
25670778
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
工藤 保誠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50314753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞周期 / DNA複製 / 癌 / Geminin / Cdt1 / ユビキチン分解 |
Research Abstract |
我々は、Gemininが細胞分裂期においてAurora-AによりThr25がリン酸化され、ユビキチン分解から免れ、複製前複合体の形成に関与することを見いだし、報告した。本研究では、Gemininタンパクのユビキチン分解制御の異常による過剰発現と癌化との関与を明らかにすることを目的とする。今年度は、リン酸化によって安定化したGemininのpre-RC形成やDNA複製に及ぼす影響を検討した。まず、分裂期特異的にGemininを siRNAを用いてノックダウンし、pre-RC形成への影響を検討したところ、G1期でクロマチン分画にみられるCdt1タンパクの蓄積やMCMタンパクの蓄積もみられず、pre-RC形成が阻害されていた。分裂期特異的にGemininを siRNAを用いてノックダウンした細胞では、細胞分裂期でのクロマチン分画以外の分画におけるCdt1の発現が低下していた。また、Gemininの分裂期特異的リン酸化であるThr25のリン酸化模倣型変異体であるT25DをU2OS細胞に導入し、内在性のGemininをノックダウンさせ、pre-RC形成への影響を検討したところ、細胞分裂期でのクロマチン分画以外の分画におけるCdt1の発現が低下はみられなかったが、G1期でGemininが分裂されないことによるCdt1のクロマチンへのローディングが阻害されていた。いずれも次のS期でのBrdUの取り込みが阻害されていた。また、研究計画では、G1期に活性化する脱リン酸化酵素の阻害剤を用いて、網羅的にGemininのThr25を脱リン酸化するフォスファターゼを調べることを予定していたが、現在、Thr25のリン酸化模倣型変異体であるT25Dに結合する因子を探索中である。次年度は、T25Dを安定性に発現する癌細胞株を作成し、そのphenootypeを解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、おおむね研究計画通りに研究を進めることができた。しかしながら、GemininのThr25を脱リン酸化するフォスファターゼの解析が遅れてしまった。しかしながら、今年度の研究をもとに、次年度の計画をスムーズに進めることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GemininのThr25に結合する因子を網羅的に解析し、Thr25を脱リン酸化するフォスファターゼを調べるとともに、Thr25のリン酸化模倣型変異体であるT25Dを安定性に発現する癌細胞株を作成し、細胞分裂動態異常をタイムラプス蛍光顕微鏡を用いて経時的に観察する。また、細胞周期調節への影響をフローサイトメトリーや細胞周期マーカーの発現を調べることにより詳細に検討する。また、これら細胞のコロニー形成能を検討し、癌化への影響を検討する。さらに、Gemininの過剰発現とリン酸化異常による過剰発現との関連を明らかにするため、種々の癌から採取された組織から、タンパクを抽出し、Gemininの発現とThr25のリン酸化動態をWestern blot法により検討する。また、Thr25リン酸化Gemininの抗体が免疫染色に用いることができるならば、癌組織アレイを用いて、GemininおよびThr25リン酸化Gemininの発現を検討する。Thr25リン酸化Geminin抗体が免疫組織化学的染色に用いることができるかどうかは充分に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Gemininタンパクを脱リン酸化するフォスファターゼを網羅的に解析することを計画していたが、そこまで進まなかったため、試薬および消耗品の購入が次年度にずれこんだ。 前年度に購入予定であったGemininタンパクを脱リン酸化するフォスファターゼを網羅的に解析するための生化学的・分子生物学的研究試薬および消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Aurora-A controls pre-replicative complex formation and DNA replication by promoting the stabilization of geminin and Cdt1 in mitosis2013
Author(s)
Tsunematsu, T., Takihara, Y., Ishimaru, N., Pagano, M., Takata, T., Kudo, Y
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 4
Pages: 1885
DOI
Peer Reviewed
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