2014 Fiscal Year Research-status Report
皮膚および口腔粘膜における炎症の蔓延化メカニズムの解析
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25670795
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90255654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 建州 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80435635)
津島 文彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90456210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 免疫学 / 慢性炎症 / 口腔粘膜 / IL-33 / 免疫抑制分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原塗布によるマウス頬粘膜炎症モデルを樹立した。組織学的解析から、皮膚と比較して、頬粘膜における炎症惹起は急速で上皮細胞傷害も甚だしいが、その回復も急速であることが明らかになった。 咀嚼粘膜上皮における有棘細胞層もB7-H1の恒常的発現に関しては、刺激により基底細胞層も含めて B7-H1発現の誘導が認められるが、基底膜側の上皮細胞膜には、B7-H1の発現が制限されていることが確かめられた。組織細胞のみに B7-H1 発現を可能にしたB7-H1/PD-1欠損マウス骨髄移入キメラマウスにおいて、活性化D011.10 CD4T細胞移入後の舌背粘膜へのOVA抗原塗布で舌背局所の炎症が誘導できるが、抗 B7-H1阻害抗体投与により悪化した。以上から、上皮細胞に発現する B7-H1と局所浸潤CD4T細胞上の PD-1が作用し、局所炎症の緩和に働いていることが示された。慢性炎症の阻止に B7-H1:PD-1経路が重要な働きをしていると同時に、外来刺激を受けやすい咀嚼粘膜では、必要な免疫応答を受容するためにB7- H1発現制御がされていることが示された。 IL-33のアジュバント機能に関しては、 IL-33欠損マウスと野生型の比較あるいは腫瘍接種時と第7日におけるIL-33の局所投与効果の比較から、IL-33が抗腫瘍免疫応答増強に働くことを CT26腺癌と SCCVII 扁平上皮癌の2つのモデルで確認できた。 局所IL-33はCCL2発現を増強させることで腫瘍局所への早期の免疫細胞集積を促進させ、結果的に CD8 T細胞機能増強に働いていることが示された。 SCCVII皮下接種モデルにおいて、VISTA抗体は、単独では顕著な腫瘍抑制効果を示さないが、 CTLA-4阻害抗体とでは併用効果が認められ、CD8T 細胞機能強化に働いた。PD-1阻害抗体とでは併用効果が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔粘膜における免疫抑制分子 B7-H1の解析は、予想外の発見もあり、当初の計画以上に進んでおり、論文作成である。 VISTAおよび IL-33に関しては、抗腫瘍免疫および皮膚における関与は明らかになったが、口腔粘膜における解析が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-33によって局所粘膜に呼び寄せられる免疫細胞についての解析を実施する。また、 VISTA免疫抑制分子は、 T 細胞においても、抗原提示細胞およびマクロファージにおいても、両方向性に抑制機能を発揮されていることがわかってきたので、特に口腔粘膜炎症部位に存在する免疫細胞における VISTA発現とその機能的関与について検討を進める。 B7-H1の発現制御と局所炎症制御機構への関与をヒトにおいても確認するために、必要な申請・許可後に、ヒト検体における検証を行う予定である。
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Research Products
(5 results)