2015 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚および口腔粘膜における炎症の蔓延化メカニズムの解析
Project/Area Number |
25670795
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90255654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 建州 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80435635)
津島 文彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90456210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 免疫学 / 慢性炎症 / 口腔粘膜 / 皮膚 / 免疫制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔粘膜は、皮膚と同様の重層扁平上皮かなり、免疫学的にも皮膚に類似する点が多い。本研究では、慢性炎症における局所応答と2次リンパ組織にける応答を皮膚と比較しながら検討した。ハプテン抗原 DNFB誘導による接触性皮膚炎モデルを改良し、DNFB感作後に、口腔頬粘膜あるいは耳介皮膚に抗原をチャレンジして口腔粘膜あるいは皮膚に炎症を惹起するモデルを樹立した。チェレンジ後の組織炎症の比較では、頬粘膜では、10時間で上皮肥厚、基底細胞層配列の乱れと炎症性細胞浸潤がみられ、24時間後では、基底膜の消失と炎症性細胞による重度の上皮破壊が見られるが、36時間では上皮はほぼ元に回復していた。これに対して、耳介皮膚では 24-48時間にかけて耳介腫脹が継続していた。以上から、口腔粘膜の炎症の進行と回復は皮膚と比較して非常に早いことが示された。所属リンパ節 (RLN)、脾臓および局所皮膚および頬粘膜のリンパ球解析からは、チャレンジにより、2次リンパ組織の T細胞比率は減少し、逆に局所組織における T細胞比率が上昇すること、また浸潤T細胞の多くは、CD62L-CD44highのエフェクターメモリーの発現型をもっていることが示された。また、エフェクターサイトカインである IFN-g陽性のCD8+ T細胞が多くリクルートしていることが示された、局所浸潤T細胞における皮膚と頬粘膜の比較では、頬粘膜においてIFN-g陽性 CD8+ T細胞比率が低下していた。2次リンパ組織では、頬粘膜チャレンジにおいて、IFN-g陽性 CD4+ T細胞比率の低下と Foxp3+制御性T 細胞比率の増強が示された。以上の結果から、口腔粘膜では、早期に顕著なリンパ球浸潤を認めるが、T細胞活性化の制御機構が働いている可能性が示された。
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