2013 Fiscal Year Research-status Report
間質細胞由来破骨細胞前駆細胞機能維持因子の同定と炎症性骨破壊における役割の解明
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25670799
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
天野 滋 明海大学, 歯学部, 准教授 (90167958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破骨細胞前駆細胞株4B12細胞 / 破骨細胞前駆細胞分化機能維持因子 / Insulin / Fibronectin / IGFBP-2 / Nidogen-2 |
Research Abstract |
歯周疾患における破骨細胞性骨吸収や関節リウマチ性骨破壊は、骨形成を上回る成熟破骨細胞の数の増加と機能亢進によると考えられている。破骨細胞分化・融合・機能発現に関しては報告が多くされているが。破骨細胞前駆細胞の増殖や機能維持に関する報告は少ない。最近私共が樹立した破骨細胞前駆細胞株4B12細胞は、その細胞維持にマウス胎児頭蓋冠由来間質細胞の培養上清が必要不可欠であることを報告した。この結果は破骨細胞前駆細胞機能維持因子の存在を示唆している。本研究は、この因子の同定、発現調節機構、そして破骨細胞前駆細胞機能維持機構を明らかにし、骨破壊における役割を解明することを目的としている。 マウス胎児頭蓋冠由来間質細胞をE-RDF培地(極東製薬)で培養後、上清を回収し、Amiconウルトラ-15 10Kで濃縮、破骨細胞前駆細胞分化機能維持活性を指標にMonoQ、Superdex200 10/300GL, Resource RPC を用いて活性分画を順次精製した。SDS-PAGEでほぼ1バンドに近い状態に精製されたいくつかの画分をLC/MS/MSで解析したところ、mouse Insulin-2、Fibronectinの分解産物、Nidogen-2の分解産物、IGFBP-2 が同定された。そこで、ヒトInsulin、ヒト血漿由来Fibronectin、マウスIGFBP-2、マウスNidogen-2の破骨細胞前駆細胞分化機能維持活性に対する再確認と、RANK、TRAF6、NFATc1の遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。これらの因子の単独刺激では、Insulinが最も高い活性を示した。また、ヒトInsulinとFibronectinの組み合わせることによって高い維持活性が認められた。ヒトInsulin、Fibronectin、Nidogen-2の刺激によってRANK遺伝子発現の上昇が認められた。またFibronectin、Nidogen-2の刺激によってTRAF6遺伝子発現の上昇が認められた。 今後、骨髄、脾臓、末梢血中のM-CSF依存性マクロファージに関しても同様の反応性を示すか否か調べる必要がある。以上の結果を第56回歯科基礎医学会に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中に、全ての破骨細胞前駆細胞機能維持に関与している因子を同定する予定であったが、同定されていない活性画分がまだ2画分存在している。 破骨細胞前駆細胞機能維持活性として検討されているのが、破骨細胞前駆細胞株4B12細胞のみであり、骨髄、脾臓、末梢血などに存在している破骨細胞前駆細胞に対する影響が検討されていない。 現在すでに同定されたInsulin-2、Fibronectin、Nidogen-2、IGFBP-2に対する特異的抗体を用いて、妊娠14 日目から20 日目の胎児、生後1日目から7日目までの新生児、2 週目から7 週目までの成獣マウス大腿骨、頭蓋骨、その他の臓器凍結切片を作製し、Zeiss 共焦点顕微鏡を用いて、産生している細胞とその時期を特定するための免疫組織学的解析が行われていない。 学会での発表が行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた結果を第56回歯科基礎医学会に発表する。 まだ同定に至っていない活性2画分の因子を、至急精製同定する。 すでに同定されたInsulin-2、Fibronectin、Nidogen-2、IGFBP-2に関しては、骨髄、脾臓、末梢血などに存在している破骨細胞前駆細胞に対しても維持活性能を検討する。 骨組織でInsulin-2、Fibronectin、Nidogen-2、IGFBP-2を産生している細胞を同定するために、妊娠14 日目から20 日目の胎児、生後1日目から7日目までの新生児、2 週目から7 週目までの成獣マウス大腿骨、頭蓋骨を用いて免疫組織学的解析を行う。Insulin-2、Fibronectin、Nidogen-2、IGFBP-2の遺伝子がどのような条件で誘導されてくるか検討する。 本因子の病態生理学的意義を明らかにするために炎症性骨吸収実験マウス、リュウマチモデルマウス、閉経後骨粗鬆症モデルマウス、2型糖尿病モデルマウスを用いて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
同定にいたらなかった活性画分が2つあり、これらの精製、同定を行う必要がある。さらにこれらの因子の活性確認のために、購入するか、または購入できない場合または発現ベクター(DUALXPress タンパク質発現キット)にクローニングし、リコンビナントタンパク質を作製し活性確認を行わなければならない。つまり、2~8回分のLC/MS/MS解析と同定された因子の購入または作製費用として次年度使用額が生じてしまった理由である。 同定にいたらなかった2つの活性画分に存在している因子を精製し同定するために使用する予定である。さらにこれらに因子の活性確認のために、これらの因子の購入またはリコンビナントタンパク質作製するための費用として使用する予定である。
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