2014 Fiscal Year Research-status Report
間質細胞由来破骨細胞前駆細胞機能維持因子の同定と炎症性骨破壊における役割の解明
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25670799
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
天野 滋 明海大学, 歯学部, 准教授 (90167958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破骨細胞前駆細胞株4B12細胞 / 破骨細胞前駆細胞分化機能維持因子 / Insulin / Fibronectin / IGFBP-2 / Nidogen-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周疾患における破骨細胞性骨吸収や関節リウマチ性骨破壊は、骨形成を上回る成熟破骨細胞の数の増加と機能亢進によると考えられている。破骨細胞分化・細胞融合・機能発現に関しては報告が多くされているが、破骨細胞前駆細胞の増殖や機能維持に関する報告は少ない。最近私共が樹立した破骨細胞前駆細胞株4B12細胞は、その細胞維持にマウス胎児頭蓋冠由来間葉系細胞の培養上清が必要不可欠であることを報告した。この結果は、破骨細胞前駆細胞機能維持因子の存在を示唆している。本研究は、この因子の同定、発現調節機構、そして破骨細胞前駆細胞機能維持機構を明らかにし、骨破壊における役割を解明することを目的としている。 平成26年度は、破骨細胞前駆細胞機能維持因子として、現在までに知られているM-CSF以外に、mouse Insulin-2、Fibronectinの分解産物でN末端部分のフィブリン結合部位のモジュールI型部分、Nidogen-2の分解産物、そしてIGFBP-2が同定された。最近、IGFBP-2ノックアウトマウスで破骨細胞形成抑制と骨吸収減少が認められることが報告され、IGFBP-2が破骨細胞前駆細胞維持機能因子であるという本研究の結果と一致した。IGFBP-2とFibronectinの分解産物N末端部分のフィブリン結合部位のモジュールI型部分とで相同性の高いアミノ酸配列領域を探すことができ、その部位のペプチドを合成した。このペプチドに同様の活性があるか否か4B12細胞とマウス骨髄由来M-CSF依存性マクロファージを用いてその活性を調べたところ、確認できた。平成27年度は、このペプチドの作用をin vivo実験により証明していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度から26年度中間まで得られた結果を第56回歯科基礎医学会に発表できた。 マウス骨髄由来M-CSF依存性マクロファージを用いた実験系で、Fibronectinの分解産物でN末端部分のフィブリン結合部位のモジュールI型部分(Fibronectin 30K)、さらにこの部位とIGFBP-2とで相同性の高いアミノ酸配列領域の合成ペプチドに破骨細胞前駆細胞機能維持活性が認められた。これは、ある特定領域にその活性部位が存在する可能性を示唆する結果であると考える。また、破骨細胞前駆細胞機能維持因子は当初特定の因子であろうと考えていたが、数個のアミノ酸配列でこの活性が誘導されたことから、ある特定の配列が存在するタンパク質であれば同じような活性を誘導することが考えられた。さらに、この配列を認識するレセプター側を考える上で新しい展開の局面を迎えることができた。達成度はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各4因子と合成ペプチドの破骨細胞形成に及ぼす影響を、マウスを用いてin vivo レベルで検討する。 ①LPS 刺激による骨吸収実験マウスによる解析:DDY雄マウスに各4因子を4日間腹腔内投与した後、大腸菌由来LPSを頭蓋冠局所に投与する。1週間後に頭蓋冠を摘出、破骨細胞誘導活性を検討する。 ②リュウマチモデルマウス(D1CCマウス)による解析:Chondrex 社の新5 クローン関節炎惹起用モノクローナル抗体カクテル(2mg)を0 日目にマウスに静脈投与し、さらに3 日目にLPS(50μg)を腹腔内投与し、骨破壊が起きてくる14 日目の足関節の切片を用いて、各因子発現を免疫染色で解析する。 ③OVX マウスによる解析:卵巣摘出マウスを用い、骨破壊が起きてくる21 日目の大腿骨局所の切片を用いて、各因子発現を免疫染色で解析する。得られた結果を第57回歯科基礎医学会に発表する予定である。 以上の結果をふまえて論文作製に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
IGFBP-2とFibronectinの分解産物でN末端部分のフィブリン結合部位のモジュールI型部分で相同性の高いアミノ酸配列領域に対する6種類の合成ペプチド作製に時間がかかったため、マウス骨髄由来M-CSF依存性マクロファージを用いた実験やin vivo実験が遅れてしまった。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、mouse Insulin-2、Fibronectinの分解産物でN末端部分のフィブリン結合部位のモジュールI型部分、Nidogen-2、そしてIGFBP-2の各4因子と合成ペプチドの破骨細胞形成に及ぼす影響を、in vivo レベルで検討する予定である。マウス購入、切片作製、抗体購入、抗体作製等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)