2013 Fiscal Year Research-status Report
T2緩和差を利用した31P-NMRによる骨塩量・新生骨量測定法
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25670801
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
篠原 淳 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (90196402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00210211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴分光法 / 骨塩量 / 骨組成 |
Research Abstract |
31P-NMRによる基礎検討:JEOL社NMR装置、JNM-ECA600を使用し、測定対象核を燐に設定して11種類の合成リン酸カルシウム(①TCP:トリカルシウムホスフェート;非晶質,②β-TCP;三方晶,③α-TCP;単斜晶,④OCP:オクタカルシウムホスフェート;三斜晶,⑤HA:ハイドロキシアパタイト;六方晶,⑥HA;単斜晶,⑦Ca欠損HA,⑧TTCP:テトラカルシウムホスフェート;単斜晶, ⑨FAP:フルオロアパタイト; 六方晶,⑩ACP:アモルファスカルシウムホスフェート;三菱,⑪CHAP:カーボネートアパタイト)のT2緩和動態をCarr Purcell Meiboom Gill法(τstep、Calculation delay, relaxation delay、積算回数を変数)により数々の条件下でarray測定を行った。測定結果は解析ソフトDELTAによりフーリエ変換した後に信号強度として算出した。過去に検討したT1緩和条件下での合成燐酸カルシウムと骨の磁気緩和動態の結果とT2緩和の理論、および測定時間を30分以内とすることを考慮して、今回の測定結果から骨塩量、新生骨量の測定条件候補を各々2つ抽出した。 コントロールのデータとする、骨塩量の測定はHologic二重エネルギー吸収骨密度測定装置(以下DXA) discoveryを使用し、small animal modeで2,3,6,9ヶ月齢のマウス頚骨骨塩量と骨密度を測定した。また、新生骨量の測定ではJNM-ECA600を用いて、過去の研究で得られたT1緩和条件下新生骨測定条件でマウス骨サンプルを測定した結果、信号が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.骨塩量の測定:合成リン酸カルシウムからみた骨塩量の測定はτstep、calculation delayを可及的に短くすることが重要であり、機器の性能から各々0.182m秒、0.348m秒となる。しかし、relaxation delayは長くする必要があることが判明した。また、relaxation delayを長くすると測定時間が長くなることから、その場合には積算回数を可及的に少なくする必要があることが判明した。これらの測定結果から骨塩量の測定条件の2つの候補を抽出した。 2.骨組成の測定:τstep、calculation delay、relaxation delayの組み合わせ次第で成熟骨、新生骨の信号が得られる可能性が示唆され、新生骨の測定条件の2候補を抽出した。また、結果の一端としてcalculation delayが0.348から11m秒では三斜晶・三方晶の信号の描出は得られず、100msec以上では三斜晶・三方晶のみの信号が得られた。この設定条件で得られる信号は、T1緩和の検討から成熟骨のリン酸カルシウム由来の可能性がある。以上の結果は初年度の計画とほぼ一致している。
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Strategy for Future Research Activity |
31P-NMRによりマウス脛骨の骨塩量および新生骨量の測定条件の候補での信号強度の測定を行う。31P-NMRで測定した骨塩量候補の信号強度はDXAで得られた骨塩量との相関を解析することで有用性を検証する。一方、新生骨量候補の信号強度はT1緩和新生骨測定条件で測定した信号強度との相関を解析することで有用性を検証する。これらの骨塩量、新生骨量の測定候補で得られる信号はあくまでも基礎検討と過去のT1測定からの結果および理論からの仮説に基づくものである。したがって、これだけの検証では不十分である。そこで、これらの信号を測定部の面積で除して信号密度として算出しておき、骨形態計測(骨端間骨、皮質骨、一次・二次海綿骨)で得られる新生骨の割合、成熟骨の割合、総骨量の割合との関係について重回帰分析を行うことで測定法の有用性を二重に検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
11種類の合成燐酸カルシウムを用いたT2緩和動態の結果から骨塩量、新生骨量の測定条件の候補を各々2つ、計4つ抽出した。次に、マウス骨サンプルを用いて、これらの4条件で骨信号が得られるか検討する必要があった。この測定は最終的な骨の測定条件を決定する重要な測定であるため日間測定誤差を除外する必要があった。そして、測定費用に要する費用は残額では不足したため、次年度費用を合算して行う必要性が生じた。故に、次年度使用額としての残金が生じた。 11種類の合成燐酸カルシウムを用いたT2緩和動態の結果から得られた骨塩量、新生骨量の測定条件の候補、各々2つ、計4つの測定は次年度の費用で不足分を補い、次年度、早々に測定を行う予定であり、骨サンプルの準備はできている。
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