2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔微生物由来の血中TLRリガンドに起因する糖尿病性腎症の促進機構の解明
Project/Area Number |
25670803
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
沢 禎彦 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (70271666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
敦賀 英知 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30295901) [Withdrawn]
畠山 雄次 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40302161)
岡 暁子 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60452778)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90105685) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / toll-like receptor / 腎糸球体 / 血管内皮細胞 / Porphyromonas gingivalis / 歯周病 / 予防 / TLR拮抗剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年に公開された厚生労働省2012年国民健康・栄養調査における糖尿病の有病者数は約950万人に上り、その40%に糖尿病性腎症が合併します。重度歯周疾患を有する糖尿病患者は歯周疾患をもたない患者と比べて腎症を合併する危険性が2-3倍高いことが喫緊の問題となっています。糖尿病性腎症の病態像は糸球体硬化であるがその分子メカニズムは未解決です。今回の研究で、申請者らはヒトとマウスの糖尿病性腎症の糸球体血管がtoll-like receptor (TLR)を発現することを見出しました。TLRは主に貪食細胞が発現する自然免疫受容体で、細菌分子と結合してサイトカイン産生を誘導します。通常では、一般組織血管、また糖尿病の腎でも糸球体以外の腎血管における発現は見られません。おそらく糸球体血管は糸玉状の特殊構造のため、一般組織血管と比較して病原因子や免疫複合体が沈着し易く、糖尿病環境で発生した終末糖化産物AGEが糸球体血管に蓄積し慢性的に刺激することで、血管にTLRの発現をもたらすのではないか、と考えました。さらに今回の研究では、TLRと結合する歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの成分であるLPSを定期的に微量投与した糖尿病マウスが、同様に投与した健常マウスの全生存期間内に、すべて腎症で死亡したことを示しました。大腸など腹部の消化管から血液に入った細菌はすべて肝臓で殺菌されますが、扁桃、口腔粘膜や歯周ポケットなどから血中に入った細菌は解剖学的に肝臓に入れず腎臓に入ること、重度の歯周疾患ではブラッシングで容易に血液に細菌が入り、常に菌血症を起こすことに原因があるのではないかと考えられました。現在、私たちは、歯周病による糖尿病性腎症を予防する目的で、TLR拮抗剤による腎症の阻止の研究に入りました。
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Research Products
(6 results)