2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25670814
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
谷口 裕重 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80529636) [Withdrawn]
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 歯科 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた日本において,摂食・嚥下機能障害をもつ要介護高齢者が増加している.嚥下障害の臨床では,咽頭残留や喉頭侵入,誤嚥などに焦点が当てられており,原因の1つに随意性嚥下の障害が含まれる.申請者らが独自に考案した咽頭電気刺激による嚥下反射誘発システムは,すべての嚥下関連筋を制御下で同時に活性化できる画期的な方法である.本研究の目的は,このシステムを用い,随意性嚥下を促進する効果的刺激様式を明らかにし,刺激がもたらす上位脳への影響を解明することで,ひいては摂食・嚥下障害の新たな治療法や評価法の開発を促すことである. 平成25年度には嚥下誘発に至適な刺激パラメータを求めたことを受けて,平成26年度には,本刺激がもたらす随意性嚥下および反射性嚥下への効果を明らかにして,論文投稿を行った.さらに,随意性嚥下,咀嚼,安静時に刺激を加えて,嚥下回数の変化やその時間経過を追い,REST時の嚥下運動誘発がCHEW時に比べて有意に多かったことから,咀嚼時には中枢性に嚥下誘発を抑制するメカニズムが存在することが示唆された.これについても論文投稿を行った.さらに,随意性嚥下と反射性嚥下の誘発回数との間に有意な正の相関がみられたことから個人の嚥下誘発の能力が共通する神経回路である下位脳幹の神経活動の興奮性に依存することなどを示した.平成27年には,投稿された論文の採択にいたり,さらに,本研究結果の知見に対する興味から種々の講演会や学会シンポジウムへの参加を果たした.また,本刺激と化学刺激の組み合わせによる嚥下機能への重積効果についても評価したものの,単独の咽頭電気刺激による効果以上のものが得られなかった.また,高齢者を対象として行った記録においては,明らかな促進効果を得られなかったことから,加齢変化に伴う末梢刺激の効果判定を臨床応用へとつなげる新たな課題が見つかった.
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