2014 Fiscal Year Research-status Report
高頻度睡眠時ブラキシズム患者は,睡眠時高血圧による心蔵血管系リスクを有するか
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25670819
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 賢治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20304313)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 睡眠時ブラキシズム / ポリソムノグラフィー検査 / 心電図 / 自律神経活動 / 睡眠時覚醒(微小覚醒) / 睡眠時体動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は,睡眠時ブラキシズム(SB)発生時には,脳波の変化すなわち睡眠深度の浅化の後,心拍数・呼吸数の増加,続いて開閉口筋の筋活動亢進という一連の生体反応が生じることに着目してきた。そのため,SB発症時の心電図のR-R間隔の変化との関連を検討してきた。その結果,5名の健常被験者(男性/女性:3名:2名,平均年齢31.8+/-7.4歳)を対象に,動画撮影を伴うポリソムノグラフィー(PSG)検査結果の解析を行い,心電図より得られたR-R間隔変化(各被験者の入眠直後のsleep stage 2の1分間のR-R間隔を基準とし,この5%を変化閾値として,SBイベント発生前後の30秒間にR-R間隔が閾値を下回った場合を,変化ありとした)と咬筋筋電図から抽出したSBイベントとの検討を行った。5名の被験者SBイベントは総計25回観察され,R-R間隔の減少が同時に認められたのは12+/-4.9回であった。この結果より,SB発症に際してR-R間隔の変動を示す現象は,すべてのSBイベントに認められなかった。これは,SBの発症機序や症状発現様式が全て同一ではなく,種々のバリエーションが存在しているのかもしれない。 そこで,SBの発症や発現の様式を検討する目的で,SB発症時の全身の随伴症状について検討を行った。14名(男性10名,女性4名,平均年齢31.5±5.7歳)にPSG検査を行ったところ,平均覚醒回数は102.5±37.2(睡眠時覚醒31.4±18.5,微小覚醒71.1±23.0)であり,SBを伴う(wSB)/伴わない(woSB)ものの回数はそれぞれ10.6±7.63回,91.9±36.2回だった.随伴運動の発生率は,wSBがwoSBに比べ有意に多く(95.1±6.6%,69.2±19.5%,p<0.01, t-test),その内訳は,下肢体動,嚥下,上肢体動,掻痒であった。また下肢体動の発症頻度は,woSBに比べwSBに有意に多く認められた(p<0.01, t-test)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究仮説では,SB発症時に交感神経活動の亢進に伴い心拍数の増大,すなわちR-R間隔の減少が生じるものと考えられていた。しかしながらPSG検査による詳細な検討を行うに従い,SB発症時の発現様式に種々のバリエーションが存在することが明らかとなった。 そのため,SBイベントの中のサブタイプである睡眠時高血圧との関連を示すかもしれない一群を明確化させる方向に研究体制のシフトを行ったため進捗状況はやや遅れている。 しかしながら,平成26年度はPSG検査結果からの脳波,眼電図,心電図,筋電図(頤筋,両側咬筋,両側前脛骨筋),呼吸,体位,血中酸素飽和度(SpO2)の抽出方法に習熟し,その結果,下肢体動,嚥下,上肢体動,掻痒といったSB発症に関連した随伴症状の検出が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本申請研究の仮説であるR-R間隔の変動結果に,平成26年度に行った随伴症状に関する検討結果を加え,SBイベントの発現様式の相違をもとにした有病者率を含めた細病態分類の構築を行う予定である。 そのうえで,R-R間隔変動を呈するSBイベントの有病者率を算出するとともに,R-R間隔の変動値の集積を行う。同時に,睡眠時高血圧の直接的なリスクファクターである睡眠時無呼吸(SAS)との関連を十分検討する必要がある。そのため,PSG検査を施行している岡山済生会病院 睡眠検査部と共同研究を行い,SASの検査目的でPSG検査を受ける患者に咬筋筋電図データを追加して抽出する。 これにより,SASの影響を考慮した上で,SASの好発年齢層である中高年を対象としたSBデータの採集が可能となる。このデータセットを用いて同様に就寝時のR-R間隔の変動とSB発症,SASとの関連を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)