2013 Fiscal Year Research-status Report
骨関連細胞ネットワークによるオッセオインテグレーション獲得機構の解明
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25670824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80253681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師(Lecture) (40443915)
綿本 隆生 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60420444)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯科補綴学 / インプラント / オッセオインテグレーション / 骨細胞 / 荷重 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
「研究の目的と研究実地計画」現在まで、静的状態におけるインプラント体と生体との相互作用については多くの研究が行われてきたが、荷重下のインプラント体と組織および細胞との相互作用はいまだ不明な点が多く存在する。本研究の目的は、インプラントに対する荷重と骨形成/吸収の関係を、骨細胞を中心に分子生物学的、組織化学的に解明することであり、具体的には、1)ラットによるインプラント埋入モデルを用いた、荷重に対する骨組織の反応性比較解析(in vivoの検索)と、2)培養骨細胞に伸展刺激を加えた際に起こる分子生物学的動態解析、ならびに骨芽細胞か破骨細胞との共培養による相互作用的な細胞動態解析を2年間で遂行することである。 「研究実績の概要」本年度はラットを用いたin vivoの研究と、ラット頭蓋骨由来骨芽細胞を用いたin vitroの研究を行った。In vivoの研究に関しては、ラット第一大臼歯を抜歯し、ラット用に開発したインプラントを抜歯後2週間で埋入したものの、オッセオインテグレーション獲得成功率が50%であった。以上のことは実験結果に影響を与える可能性が高いため、現在成功率を80%程度に上昇させるべく、インプラントの規格変更と埋入術式の改変を行っている。一方In vitroの研究に関しては、ラット頭蓋骨由来骨芽細胞を独自に調整した3次元ゲルで培養し、骨細胞へと分化させることに成功した。さらに分化した骨細胞に一定条件の伸展刺激を加えた結果、3次元ゲル中での骨細胞の配列が若干規則性を有し、さらに遺伝子定量解析では、荷重に関与するといわれている各種遺伝子発現の相対的上昇もしくは相対的下降を認めた。このことは、生体内により近い状態で培養され、骨芽細胞から分化した骨細胞が荷重への反応性を示したことを意味し、in vivoの研究では解明が困難な分子生物学的基盤の構築に大きく貢献できると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivoの検索:ラットへのインプラント埋入に対するオッセオインテグレーション獲得成功率が現在50%であり、さらには上顎洞への穿孔も認められる場合があることから、研究結果への影響が懸念されるため、軌道修正が必要である。一方In vitroに関しては、予想以上の成果が達成されていることから、総合的に判断して、「おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoの検索:インプラント埋入のオッセオインテグレーション獲得成功率を80%程度まで上昇させなければ実験結果にも影響を与えかねないため、現在既にインプラントの規格変更と術式の改変を行っている段階である。成功率を上昇させた後は大きな問題点は起こらないことが強く考えられるため、残りの1年で組織検索まで行うことは可能であると考えられる。 In vitroの検索:既に骨細胞の荷重への影響について遺伝子レベルまで明らかにされたことから、残りの1年では3次元ゲル中の細胞に対する免疫染色と、骨芽細胞か破骨細胞と共培養した骨細胞に伸展刺激を加え、各細胞間の相互作用を遺伝子レベル・タンパクレベルで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加で注文したラット用のインプラントと上部構造が、使用期限内には手元に届かなかったのが理由である。 追加のラット用インプラントと上部構造を速やかに発注する。
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