2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨関連細胞ネットワークによるオッセオインテグレーション獲得機構の解明
Project/Area Number |
25670824
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (40443915)
綿本 隆生 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60420444)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 骨細胞 / 荷重 / 生体力学 / 細胞死 / オートファジー / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、機械的刺激が骨細胞ネットワークにどのような影響を与えているかを解明することを目的としている。申請者は前年度に、ラット頭蓋骨から骨芽細胞を分離し、特殊な培養条件下で簡易的に骨細胞様細胞に分化する方法を確立し、形態学的および遺伝子学的に骨細胞の特徴を有する細胞であることを証明した。 本年度はこれら培養骨細胞用細胞に規則的な繰り返し荷重を付与することで、荷重(細胞へのずり応力と細胞自身の形態変化)が骨細胞に与える影響を分子生物学的に検索した。その結果、規則的な繰返し荷重(圧縮と進展)を加えると、培養骨細胞様細胞の細胞死関連遺伝子の発現が優位に変化し、全体として抗アポトーシス作用を示すことが分かった。さらにこれらの遺伝子は数個ではなくかなり多くの遺伝子が連動して作用していることも明らかとなった。さらに申請者らは、細胞死と表裏一体で動くと考えられているオートファジーに関する遺伝子に関しても検索を行った。その結果興味深いことに、オートファジーに関連する特定の遺伝子群が反応性を示し、オートファジー依存性細胞死抑制経路が存在することが強く考えられた。 以上のことから、荷重を受けた骨細胞様細胞は、アポトーシスとオートファジーの両者の制御を受けながら荷重応答をしていることが示唆された。
現在まで培養骨細胞様細胞に規則的な繰返し荷重を加えた報告はなく、ましてや荷重骨細胞とオートファジーとの関連性を示す基礎研究はわずかに数報にとどまることから、申請者らが明らかにしたことは、骨組織の荷重反応に対する細胞死とオートファジーの関係を解明する上で、極めて重要な足掛かりとなる可能性が考えられた。
|