2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブルと超音波を用いた顎関節硬直症に対する新しい遺伝子治療法の開発
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25670842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 綾 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (00646789)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 顎関節 / 強直症 / 超音波 / ナノバブル / 遺伝子治療 / 疾患モデル / ソノポレーション / 導入効率 |
Research Abstract |
本研究は、超音波とナノ・マイクロバブルを用いた関節組織への遺伝子導入システムを開発し、顎関節強直症の治療に応用するために、我々が樹立した関節強直症モデルマウスにこの遺伝子導入法を適用して、関節強直症の遺伝子治療の効果を評価し、顎関節疾患に対する本法の臨床応用の可能性を検討することを目的とする。超音波とナノ・マイクロバブルを用いた分子導入法(ソノポレーション)は、安全性や操作性に優れている反面、導入効率が低いという問題点がある。ソノポレーションは、周波数、超音波圧力(強度)、デューティ比、パルス数、照射時間などの超音波のパラメーターと膜構成、気泡サイズ、内封ガス、ゼータ電位などの微小気泡の構成や、細胞と気泡の比率などに影響を受けると言われている。これらの条件を変化させることで、超音波場の気泡の動力学の物理的パラメータを最適化でき、細胞生存率、導入効率、治療効果などに反映される。これまで、我々の研究グループで樹立した関節強直症自然発症マウスの膝関節近傍の筋組織において、超音波とナノ・マイクロバブルを用いた遺伝子導入法の検討をおこなった。遺伝子導入効率の検討には、リポーター遺伝子であるルシフェラーゼ遺伝子を導入遺伝子として用い、遺伝子導入は生体発光イメージング装置で確認した。まず、デューティ比、パルス数、照射時間を変化させ、マウス膝関節近傍の筋組織での遺伝子導入効率を観察した。その結果、照射時間120秒よりも60秒の場合に導入効率が高く、特にデューティ比20%、パルス数200の場合に導入効率が最も高くなった。また、パルス繰り返し周波数に着目して解析した結果、1000Hzで遺伝子導入効率が最も高くなった。すべての結果で、遺伝子導入後4日目に遺伝子発現が最も高くなり、マウス膝関節近傍の筋組織での本手法による遺伝子発現は導入後4日目にピークが来ることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波と微小気泡を用いた分子導入法(ソノポレーション)は、局所投与が可能な低侵襲的な手法として、各種疾患への治療分子や治療遺伝子などの導入に使用されている。しかし、安全性や操作性に優れている反面、導入効率が低いという問題点があり、改善が求められている。本研究においても、遺伝子導入効率が最大の問題点であるが、これまでの我々の検討の結果、ソノポレーションによる遺伝子導入の適切な条件を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果によって、超音波とナノ・マイクロバブルを用いた遺伝子導入に関して、適切なデューティ比、パルス数、照射時間を見出すことができたことから関節強直症の疾患モデル動物を用いて治療実験を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より旅費の金額が少なかったため、4,980円の残額が生じた。 平成25年度の残額を平成26年度の消耗品に使用する予定である。
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