2013 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/βカテニン経路の幹細胞性維持・分化誘導機能に関するゲノムワイド研究
Project/Area Number |
25670851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大庭 伸介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20466733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 雄一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345053)
小宮山 雄介 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (90586471)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胚性幹細胞 / Wnt / β-カテニン / ゲノム標的 / 多能性 / 分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多能性幹細胞におけるWnt/β-カテニン経路の機能と作用機序を詳細に明らかにすることである。下流の転写複合体の構成要素であるβ-カテニンに着目し、本年度は以下のように研究をすすめた。 1. β-catenin-Biotin-3xFLAGノックインES細胞を作出した。 2. Ctnnb1BioFL/+-BirA ES細胞におけるβ-カテニンに対するChIP-seqから約10000領域をβ-カテニンのゲノム結合領域として同定した。 3. Wnt/β-カテニン経路反応性遺伝子の発現プロファイリング:種々の条件で刺激した野生型ES細胞においてマイクロアレイ解析を行った。 4. バイオインフォマティクスによるデータ解析:1.および2.から、転写調節に関与するβ-カテニンのゲノム結合領域を選別し、ES細胞で重要な働きをもつ19種類の転写関連因子の結合領域と比較解析した。その結果、特に多能性に重要な5種類の転写因子とβ-カテニンの結合領域が、ゲノムDNA上で高頻度に重複することを見出した。「Oct4、Sox2、Nanog、Tcf3と共に結合する領域(領域A)」と「Tcf3のみと結合する領域(領域B)」の二つに大きく分けられ、領域Aは多能性に関連する遺伝子の周囲に、領域Bは分化に関連する遺伝子の周囲に多く分布していた。さらに、領域AではOctとSoxの認識配列が、領域BではTcfの認識配列が優位に存在することが判明した。この知見は、Wnt/β-カテニン経路が、多能性を制御する際にはOct4、Sox2、Nanog、Tcf3を介した遺伝子ネットワークと協調して働き、分化を制御する際には主にTcf3を介することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、β-catenin-Biotin-3xFLAGノックインES細胞を作出し、ChIP-seqと発現プロファイリングの一次データ取得までを計画していた。しかし、26年度に計画されていたデータの統合的解析が進み、β-カテニンを中心とした転写ネットワークの一部を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、β-カテニン転写複合体のプロテオーム解析を進め、そのデータとこれまでに得られた転写ネットワークのデータとを統合的に解析することで、β-カテニンの転写協働因子の候補を検索していきたい。また、これまでに得られた知見を、レポーターアッセイ・ゲルシフトアッセイ・共免疫沈降等によりin vitroにて検証すると同時に、発現解析とin vitroおよびin vivoにおける機能解析を通じて新規標的遺伝子の同定を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の一次データ取得において、これまでの予備実験の結果を踏まえつつ、大規模な実験条件の設定を行う予定であった。しかし、予備実験で候補となった実験条件が、予想以上に適した条件であることが判明した。これにより、実験条件の設定とデータ取得が当初の計画以上にスムーズに進んだため、使用経費の削減につながった。 β-カテニン転写複合体のプロテオーム解析の条件設定に多くの実験を要すると予想されるため、そちらへ優先的に使用していく。また、大規模解析から得られた知見を、生化学・分子生物学・マウス遺伝学的手法を用いて行うことを計画していたが、実際に得られた知見を鑑みると当初の計画以上の経費が必要であると予想される。したがって、この検証実験にも適宜使用する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Generation of Col2a1-EGFP iPS cells for monitoring chondrogenic differentiation.2013
Author(s)
Saito T, Saito T, Yano F, Mori D, Ohba S, Hojo H, Otsu M, Eto K, Nakauchi H, Tanaka S, Chung UI, Kawaguchi H
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 8
Pages: e74137
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Tenomodulin expression in the periodontal ligament enhances cellular adhesion.2013
Author(s)
Komiyama Y, Ohba S, Shimohata N, Nakajima K, Hojo H, Yano F, Takato T, Docheva D, Shukunami C, Hiraki Y, Chung UI
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 8
Pages: e60203
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Hedgehog-Gli activators direct osteo-chondrogenic function of bone morphogenetic protein toward osteogenesis in the perichondrium.2013
Author(s)
Hojo H, Ohba S, Taniguchi K, Shirai M, Yano F, Saito T, Ikeda T, Nakajima K, Komiyama Y, Nakagata N, Suzuki K, Mishina Y, Yamada M, Konno T, Takato T, Kawaguchi H, Kambara H, Chung UI
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 288
Pages: 9924-9932
DOI
Peer Reviewed
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