2014 Fiscal Year Annual Research Report
リコンビナーゼAを用いたリプレイスメントセラピーによる新規齲蝕抑制法の開発
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25670874
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲野 道代(松本道代) 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30359848)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 齲蝕 / Streptococcus mutans / リコンビナーゼA / グルコシルトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
齲蝕の主要病原細菌である Streptococcus mutans は、口腔内バイオフィルム形成に重要な菌であり、表層に存在するグルカン合成酵素(Glucosyltransferase ; GTF)から粘着性グルカンを合成することでその能力を発揮する。一方、リコンビナーゼA (Recombinase A: RecA) は、遺伝子のリコンビネーションを起こすタンパクとして報告されている。我々はすでにRecAの過剰発現がgtfB、C 遺伝子のリコンビネーション起こすことを報告した。さらにそのリコンビネーションは特定の部位に起こることが明らかとなっている。リコンビネーションを起こした菌はGTFの活性が低下することから、本研究では、これらを利用し、GTF活性が低下している菌の口腔内への定着を促進させ齲蝕発生を抑制することを検討した。はじめにタンパク発現用ベクターを用いて作製したリコンビナントRecAタンパク (rRecA)を液体培地中に添加し、RecAが過剰に存在する状態で、菌を培養するとgtfB、C 遺伝子のリコンビネーションの発現率は約0.2%であることが明らかとなった。そのため、rRecA の投与により、人工的にgtfB、C 遺伝子のリコンビネーションを起こすことが可能と考えられた。しかしながら、リコンビネーションを起こした菌株は、酵素活性が低下しバイオフィルム形成が減少するものの、同時にRecAが過剰に存在した場合、リコンビネーションを起こしていない通常の菌株において、gtfB、C 遺伝子の発現の上昇が認められた。以上の結果から、RecAは、gtfB、C 遺伝子への結合はその結合ドメインの違いにより、gtfB、C 遺伝子のリコンビネーションと発現促進の2つの作用を持つ可能性が示唆された。そのため、今後はこれらの2つの結合ドメインを特定することが必要と思われる。
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