2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25670884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30263304)
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SASP / 歯根膜細胞 / 老化 / 歯根膜細胞 |
Research Abstract |
本研究では、老化細胞(SASP)産生蛋白に着目し、歯周炎の慢性化、発がん、組織修復における生理学的役割を明らかにすることで、慢性歯周炎―発がんにおける細胞間コミュニケーションを明らかにし、両疾患に共通する分子病因論の基盤情報を構築する。 平成25年度は、歯周組織構成細胞を用いたin vitro老化誘導モデルを樹立した。 採取したヒト歯周組織を酵素処理後に播種し、組織塊より遊走した細胞から樹立された初代培養歯根膜細胞は、生体内とは異なる人為的な生存環境に絶えず暴露されることになる。すなわち、細胞培養そのものが環境ストレスとなり、継代培養により細胞分裂依存性の老化が誘導される。老化マーカーとして以下のバイオマーカーの動態を評価することで細胞老化の確認を行った。顕微鏡学的な形態観察並びにFACSによる細胞サイズ、密度(FSC/SSC)の解析により、老化細胞は正常細胞の約2倍の大きさで非薄した特徴をとることが示された。不可逆的な分裂停止状態へ誘導されることから、トリパンブルー染色或はBrdU取り込み試験にて増殖能を解析するとことで、継代培養10代目付近から老化誘導細胞の比率が上昇することが明らかとなった。ヒト老化細胞はライソゾームの肥大を伴うSA-beta GAL活性が上昇するたしていた。Western blot法による生化学的な解析により、ヒト老化細胞においては細胞周期制御に関わるp16INK4a-Rb経路並びにp53-p21WAF1経路が活性化された状態にあることが明らかとなった。前述のバイオマーカーにより確認された老化細胞が産生するSASP分泌蛋白についてreal-Time PCRとELISA法にて定量、定性解析をおこなっ多結果、SASP蛋白としてIL-6,IL-8,MMPs,PAI-1が同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、歯周組織構成細胞を用いたin vitro老化誘導モデルの樹立に成功したことにより、予定していた細胞機能実験、生化学的な解析が可能となり、おおむね順調に実験が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度の研究課題を継続するとともに次の研究課題を展開する。 (1)老化歯根膜細胞から産生されるSASP蛋白分泌制御機構のトランスクリプトーム解析、老化歯根膜細胞から採取したmRNAを用いて、DNAマイクロアレイによる遺伝子網羅トランスクリプトーム解析をおこなう。得られた遺伝子発現プロファイルを試料として、IL-6,IL-8を中心とした炎症サイトカインの転写誘導に重要である、NF-kappa B,C/EBP alpha 経路を基準としたパスウェイ解析を実施することにより、老化細胞内のSASP蛋白制御の細胞内シグナル伝達機構の解明にあたる。 (2)SASP蛋白が歯周組織幹細胞の機能ならびに口腔扁平上皮がんの細胞機能に及ぼす影響の解析 歯根膜細胞は歯周組織においては多能性間葉系幹細胞としての機能を果たす。よって、歯根膜細胞の培養系を用いて、歯周組織発生或は再生過程に重要な幹細胞から、歯周組織構成細胞(線維芽細胞、骨芽細胞、セメント芽細胞)への分化並びに老化を細胞レベルで評価することが可能である。本実験系にSASP蛋白を添加することにより、歯周組織幹細胞の細胞増殖能、細胞老化、栄養代謝能、石灰化能の機能に及ぼす影響を検討する。また、正常口腔扁平上皮細胞にSASP蛋白を添加することにより細胞増殖能、トランスフォーミング活性を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SASP産生機構の解析に必要な実験試薬の購入費が、節減できたため。 SASP産生機構の解析に必要な実験試薬の購入費、情報収集のための学会発表、参加のための旅費、論文作成費として予算の執行につとめる。
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Research Products
(8 results)